2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト多段階発がんにおけるDNAメチルトランスフェラーゼの異常
Project/Area Number |
15390120
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
金井 弥栄 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 病理部, 部長 (00260315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 亜希子 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 臨床検査部, 医師 (90342906)
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Keywords | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / DNMT1 / CpGアイランド / 多段階発がん / 慢性膵炎 / PanIN / 膵管がん |
Research Abstract |
難治がんである膵がんの多段階発生過程における、DNAメチル化異常の意義の理解をすすめることを目指した。膵管がん外科切除標本において、DNMT1の蛋白発現を免疫組織化学的に評価した。DNMT1の蛋白発現を評価した組織学的に特記すべき所見を示さない末梢膵管上皮・炎症性背景を伴う末梢膵管上皮・前がん病変pancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)・組織学的多様性を示す浸潤性膵管がんの諸領域を、周囲の腺房細胞・浸潤リンパ球・間質細胞の混入を排除してマイクロダイセクション法により回収した。アガロースビーズ封入メチル化特異的PCR法を採用し、p14・p15・p16・p73・APC・hMLH1・MGMT・BRCA1・GSTP1・TIMP-3・CDH1・DAPK-1遺伝子のCpGアイランドにおけるDNAメチル化の状態を評価した。 前がん段階にある可能性のある炎症性背景を伴う末梢膵管上皮において、DNMT1の蛋白発現が組織学的に特記すべき所見を示さない末梢膵管上皮に比して既に有意に亢進し、複数のがん関連遺伝子のDNAメチル化が既に蓄積していた。PanINから膵管がんへと、DNMT1蛋白発現は更に段階的に亢進し、がん関連遺伝子のDNAメチル化が更に蓄積していた。DNMT1蛋白発現充進ならびにがん関連遺伝子のDNAメチル化蓄積は膵管がんの分化度と有意に相関し、DNMT1蛋白発現充進は膵管がんの浸潤性増殖・症例の予後と有意に相関した。DNAメチル化の変化は前がん段階から浸潤性膵管がんの悪性進展に到るまで、多段階発がん過程に継続して寄与し、膵がん症例の予後予測指標となり得る。DNMT1蛋白発現充進はがん関連遺伝子のDNAメチル化の蓄積と有意に相関したので、DNMT1の蛋白発現亢進が領域的なDNAメチル化亢進に寄与する可能性があると考えられた。
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Research Products
(6 results)