2004 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞-抗原提示細胞相互作用を介した免疫寛容制御機構の解明
Project/Area Number |
15390155
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60291267)
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Keywords | 免疫寛容 / CD4陽性T細胞 / 抗原提示細胞 / 制御性T細胞 / T細胞補助刺激 |
Research Abstract |
自己免疫疾患やアレルギー発症機序を理解する上で、免疫寛容維持と破綻の分子機構の解明は極めて重要である。我々はこれまで、T細胞補助シグナルの一つであるOX40シグナルがCD4陽性T細胞の免疫寛容破綻と自己免疫発症に関与することを明らかにしてきた。最近、免疫寛容維持に必須の細胞としてCD25陽性制御性T(Treg)細胞が注目されている。そこで、Treg細胞機能とOX40シグナルに何らかの関連性があると考え、OX40L発現抗原提示細胞(APC)存在下でのTreg細胞機能を検討した。その結果、野生型マウス由来APC存在下ではT細胞機能抑制効果を発揮したTreg細胞が、OX40L-Tgマウス由来APC存在下では全く抑制効果が発揮できないことを見いだした。この結果はOX40シグナルによってTreg細胞機能が破綻したことを意味する。さらに、CD25陰性CD4陽性T細胞とTreg細胞をRAG2欠損マウスに移植し、生体内でのTreg細胞機能を検討した。RAG2欠損マウスにCD25陰性CD4陽性T細胞のみを移入すると炎症性腸疾患を発症するが、Treg細胞を共移入すると、Treg細胞の免疫寛容維持機能により疾患発症が完全に抑制される。ところが、OX40L-Tg/RAG2欠損マウスをレシピエントに用いると、Treg細胞を共移入しても全く疾患発症は抑制できなかった。すなわちin vivoにおいても過剰なOX40-OX40L結合がTreg細胞機能を破綻させることが分かった。さらに、OX40欠損Treg細胞を用いた実験により、OX40シグナルがCD25陰性CD4陽性T細胞をTreg細胞による免疫抑制作用に対して不応性にしていることが明らかになった。以上の結果より、CD25陰性CD4陽性T細胞に対するOX40シグナルが、Treg細胞による免疫寛容を無効にすることにより、自己免疫発症に関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)