2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗血栓薬による脳出血のメカニズムに関する薬理学的解析
Project/Area Number |
15390173
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
梅村 和夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40232912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康裕 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00324343)
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Keywords | 脳梗塞 / 脳出血 / ヘパリン / tPA / MMP-9 |
Research Abstract |
抗凝固薬であるヘパリンによる脳出血のメカニズムの解明を目的として研究を進めた。tPA欠損マウスを用いて、ローズベンガルの静脈内投与と緑色光照射により中大脳動脈を血栓にて閉塞し脳虚血を作成した。脳虚血3時間後からヘパリンを24時間後まで持続投与し、48時間後に脳出血の状態を観察した。野生型マウスではヘパリンによる脳出血が観察されたが、tPA欠損マウスでは脳出血が認められなかった。このことから、内因性のtPAがヘパリンによる脳出血に大きく関与していることが示唆された。野生型マウスを用いてヘパリン投与後の内因性tPAの活性や発現をアガロースフィブリンプレート法、ノーザンブロティング法、in situ hybridazation法で調べると、虚血周囲部のマイクログリア細胞にtPAの発現と産生が亢進していた。さらに、matrix metalloproteinase(MMP)の活性や発現を調べると、虚血にすることでMMP-2,-9の活性や発現が亢進した。さらに、ヘパリン投与によりMMP-9の活性や発現はさらに亢進したが、tPA欠損マウスではこれらの変化は見られなかった。ヘパリン投与時には、MMP-9の産生亢進は虚血周辺部のマイクログリア細胞と内皮細胞に強く見られた。これらのことから、脳虚血状態にヘパリンを投与するとマイクログリア細胞における内因性tPAの発現が亢進し、さらにマイクログリア細胞と内皮細胞でMMP-9の発現が亢進し、MMP-9が血管マトリックスを破壊することで脳出血を引き起こす可能性が考えられた。また、内皮細胞膜上のLRP(Lipid Related Protein)を介してtPAはMMP-9の産生を亢進するという報告が出され、我々のデータを裏付けるものと思われる。 さらに、マイクロアレを用いて脳出血の発症に既知あるいは未知の遺伝子の発現の変化を探索し、いくつかの候補遺伝子を見出した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Positron Emission Tomographic Study of the Neuroprotective Effect of TRA-418, an Anti-Platelet Agent, in a Monkey Model of Stroke.2005
Author(s)
Umemura, K., Tsukada, H., Kakiuchi, T., Yamada, N., Matsuura, N.
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Journal Title
J Nucl Med 46
Pages: 1931-1936
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[Journal Article] Neuroprotective effects of KCL-440, a new poly(ADP-ribose)polymerase inhibitor, in the rat middle cerebral artery occlusion model.2005
Author(s)
Ikeda, Y., Hokamura, K., Kawai, T., Ishiyama, J., Ishikawa, K., Anraku, T., Uno, T., Umemura, K.
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Journal Title
Brain Res 1060
Pages: 73-80
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[Journal Article] Experimental study on the pro tective effects of edaravone against ischemic spinal cord injury.J2005
Author(s)
Suzuki, K., Kazui, T., Terada, H., Umemura, K., Ikeda, Y., Bashar, A.H.M., Yamashita, K., Washiyama, N., Suzuki, T., Ohkura, K., Yasuike, J.
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Journal Title
Thorac Cardiov Sur 130
Pages: 1586-1592