2005 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的発現解析と知識情報処理に基づく統合的オーダーメード癌治療戦略システムの構築
Project/Area Number |
15390181
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50231395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20372112)
冨田 秀太 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 研究機関研究員 (10372111)
光冨 徹哉 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
樋田 豊明 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (80250249)
谷田部 恭 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
|
Keywords | 発現プロファイリング / マイクロアレー / バイオインフォマティクス / プロテオミクス / マススペクトロメトリー |
Research Abstract |
本年度は、代表的な難治癌である肺癌を対象とし、高精度のゲノミクス・プロテオミクス解析によるデータ取得とそのバイオインフォマティクス解析により、外科切除症例の腫瘍検体の網羅的遺伝子及び蛋白発現プロファイル情報に基づく分子診断法の開発を進めた。149例の肺非小細胞癌外科切除例の網羅的遺伝子発現開発を通じて、肺非小細胞癌の中でもとくに多様性が高いと考えられているが、従前の形態学的分類法では臨床病理学的な実態を不十分にしか反映できていない肺腺癌について、遺伝子発現プロファイルに基づいた亜型分類を提唱するに至った。それによれば、末梢肺由来と考えられるterminal respiratory unit(TRU)型の肺腺癌と非TRU型の肺腺がんに大別され、両者の間にはEGF受容体遺伝子などの遺伝子異常頻度や喫煙暦などに有意な差異が存在し、その発生と進展に関わる分子機構に際が存在することが示唆された。現在さらに、外科切除後における再発・死亡の予測へと応用すべく解析を発展させつつある。一方、マススペクトロメトリーを用いたプロテオミクス解析は、174症例の肺非小細胞癌の外科切除標本を用いて蛋白発現プロファイルに基づいて、極めて高精度に再発・死亡を予測することを可能とするシステムの構築に成功した。開発した予測モデルにより再発・死亡が予測された症例は、ほぼ全例が死亡していた。また、本年度は各々の症例において最適な治療薬の選択を可能とするシステムの開発、ならびにプロテオミクス解析手法とバイオインフォマティクス処理技術の導入による鋭敏ながんの血液検査システムの確立などを最終的な目的とした研究も推進し、極めて多量にごく少数の蛋白が存在する特殊性を持つ血液試料を用いてマススペクトロメトリー解析による網羅的ペプチド発現プロファイリングを行うための基盤技術の確立に成功した。究極の統合的オーダーメード癌治療戦略システムの構築へとつながる成果を得ることができたので、今後はこれをさらに発展させていきたい。
|
Research Products
(7 results)