2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次神経活動に係わる必須微量金属の代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
15390182
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
齋藤 健 北海道大学, 医学部, 教授 (40153811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (80161727)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
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Keywords | 必須微量金属 / 金属イオン膜輸送蛋白 / メタロシャペロン / 老化 |
Research Abstract |
本研究では、1.銅、亜鉛、鉄などの必須微量金属の腸管吸収および脳への移行における金属イオン膜輸送蛋白およびメタロシャペロンの役割を明らかにすること、2.必須微量金属の脳内での局在と各金属イオン膜輸送蛋白、メタロシャペロンとの関連およびこれらの蛋白発現の制御分子を同定することにより、脳内微量金属代謝の制御機構を明らかにすること、3.微量金属、金属イオン膜輸送蛋白およびメタロシャペロンと中枢神経伝達機構、学習・記憶などの脳機能との関連などを詳細に検討し、その神経生理学的役割を明らかにすること、4.これらの研究成果を踏まえて、金属イオン膜輸送蛋白、メタロシャペロンの活性制御因子を利用した、神経変性疾患のマーカーの発見および老化に伴う脳機能低下の制御や予防・治療法の開発を図ることを目的する。 本年度は、第一に、亜鉛過剰摂取動物において認められる生体内の銅濃度の著しい減少は、亜鉛摂取によって腸管細胞内に誘導される亜鉛メタロチオネインに銅が結合し、腸管細胞内の利用可能な銅が低下することが一因であること、その結果、銅のメタロシャペロンCCSが上昇することが明らかになった。第二に、培養液中の銅濃度を変化させて、培養細胞中のCu,Zn-SODおよびCCSの蛋白変動を検討した。その結果、銅過剰状態でのCu,Zn-SODおよびCCS蛋白の低下が認められた。この低下はプロテオゾーム阻害剤により抑制されることから、プロテオゾームによる蛋白分解が関与していることが示唆された。第二に、銅のキレート剤ジエチルジチオカルバメート(DDC)によるCu,Zn-SOD活性の低下が神経細胞にもたらす影響を検討した。その結果、DDCはCu,Zn-SOD活性の低下を通して細胞中のNOを増加させ、NOよるMAPキナーゼ(ERK1/2)のリン酸化のシグナル伝達を介してホスフォリパーゼ2αが誘導され、アラキドン酸代謝異常をもたらすことが明らかになった。このことは、銅欠乏による神経細胞の障害には、Cu,Zn-SOD活性の低下により発生するNOがアラキドン酸代謝異常を誘導することが関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)