2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異のホットスポットの成因機構の解明と環境化学物質の発がんリスク評価
Project/Area Number |
15390187
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
及川 伸二 三重大学, 医学部, 講師 (10277006)
平工 雄介 三重大学, 医学部, 助手 (30324510)
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Keywords | ホットスポット / クラスターDNA損傷 / 環境発がん物質 / DNA損傷 / 活性酸素 / がん抑制遺伝子p53 / がん予防 / 発がんリスク評価 |
Research Abstract |
がんの予防を有効に実践するためには、発がん機構の詳細な解明と発がんリスク評価が必須である。がん化における遺伝子変異の主要な部位がホットスポットであるが、なぜその部位がホットスポットになるのかという最も重要な問題は、未だ解明されていない。本年度は、環境発がん物質等によるホットスポット部位の損傷機構の解明と発がんリスク評価への応用を検討した。その結果、内分泌撹乱作用が疑われており発がん性も報告されているビスフェノールA、毛髪染料のフェニレンジアミン、発がん性合成抗菌剤のニトロフラゾン等が重金属、NADH, cytochrome P450 reductase等の生体内物質の共存下において過酸化水素の生成を介し塩基配列特異的にDNAを損傷することを明らかにした。特に興味深いことに、がん抑制遺伝子p53のホットスポットのひとつであるコドン273の相補対である5'-ACG-3'配列のCG配列を2塩基連続して損傷することが認められた。以上の結果から、いくつかの塩基が連続して損傷(クラスターDNA損傷)を受けている部位は、修復され難く複製エラーを起こしやすいのでホットスポットとなりうることが考えられるため、さらなる研究を行っている。また、DNA損傷性の強さと発がんリスクについて検討を行いリスク評価法の確立も行っている 近年、アルコール摂取が食道癌、肝癌のみならず、乳癌のリスクを増大させることが明らかになってきた。本研究においてアルコール由来物質サルソリノールがヒト乳癌細胞や正常乳腺上皮細胞において増殖作用を示し、さらにその代謝物が塩基配列特異的にDNAを損傷することを明らかにした。この結果からサルソリノールが、発がんのイニシエーションとプロモーションに関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(26 results)