2004 Fiscal Year Annual Research Report
強い肺炎症惹起粒子インジウム曝露作業者の早期呼吸器影響
Project/Area Number |
15390191
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30265780)
佐野 有理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20338023)
衛藤 憲人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60365228)
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 専任講師 (10136484)
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156674)
|
Keywords | インジウム / 呼吸器影響 / 時間断面研究 / 肺線維症 / 肺気腫 / 高分解能CT撮影 / KL-6 / スパイロメトリー |
Research Abstract |
平成16年度は、前年度に実施した酸化インジウム・酸化錫焼結セラミクスターゲット製造2工場、および、インジウムリサイクル2工場(九州地区2工場、中国地区1工場、関東地区1工場)における時間断面疫学調査結果を解析した。 調査対象者は、男性曝露群112名(平均曝露期間70.3カ月)、過去曝露群40名(平均曝露期間71.7カ月、平均曝露終了後期間74.1カ月)、非曝露群104名、女性曝露群9名、過去曝露群2名、非曝露群25名であった。 男性曝露群、過去曝露群、非曝露群の血清中インジウム濃度(In-S)幾何平均値は、6.87、2.96、0.52μg/Lであった。自覚症状は、喫煙者で「冬以外の咳」、非喫煙者で「冬の咳」「冬の痰」の有訴率が曝露群で有意に高値であった。スパイロメトリーでは、群間の差はなかった。拘束性変化・閉塞性変化の有症率にも差はなかった。6肺野の高密度CT撮影所見では、間質性変化で男性過去曝露群の有所見率が約25%であったが、現在曝露群と非曝露群に差はなく、In-Sを曝露指標とした場合の量依存性は明確ではなかった。血清生化学検査として測定したKL-6、SP-D、SP-Aは、曝露群>過去曝露群>非曝露群であり、In-Sで分類するとKL-6、SP-Dで非常に明確な量影響関係、量反応関係を示した。過去曝露群のIn-SおよびKL-6については、曝露終了後150カ月経ったケースで、In-Sが10μg/L、KL-6が参照値を超えるものも観察された。 以上より、インジウムの吸入曝露による呼吸器影響は存在し、肺間質性変化指標であるKL-6を量依存性に鋭敏に上昇させることが明らかになった。さらに、曝露終了後も影響は直ちには消滅しないことから、本物質は肺間質性変化誘導ポテンシャルが強いと考えられる。
|
Research Products
(1 results)