2005 Fiscal Year Annual Research Report
青年期における「季節性感情障害、季節関連性精神疾患」の有病率解明と治療法確立
Project/Area Number |
15390202
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
平野 均 山口大学, 大学教育機構, 助教授 (70228807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 薫 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (30205760)
北村 俊則 熊本大学, 医学部, 教授 (30146716)
佐々木 大輔 弘前大学, 保健管理センター, 所長/教授 (90091610)
田名場 美雪 弘前大学, 保健管理センター, 助教授 (90302041)
苗村 育郎 秋田大学, 保健管理センター, 所長/教授 (00155988)
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Keywords | 季節性感情障害 / 有病率 / 青年期 / 出身地日照環境 / Global Seasonality Score(GSS) / 治療法 / スクリーニング / 社会恐怖(社会不安障害) |
Research Abstract |
【目的】(1)青年期の季節性感情障害(SAD)有病率と罹患者の特徴、及び(2)Global Seasonality Score(GSS)規定因子を解明すること。 【対象と方法】(1)平成16〜17年度山口大学新入生を対象とし、SAD有病率と罹患学生に認められる特徴を調査した。構造化面接実施数は各年度一律40名とし、GSS得点13点以上(高GSS群)は全員を、12点以下(低GSS群)は40名から高GSS群数を引いた人数を無作為に抽出した。 (2)平成16年度全国9大学新入生を対象とし、GSS・TCI・平成15年度出身高校所在地日照環境との関係を調査した。 【結果】(1)対象学生4,100名中、3,293名が回答に応じた。高GSS群56名中53名と低GSS群24名が構造化面接に応じ、それぞれ5名と1名がSADと診断された。以上から、新入生SAD有病率は4.22%で、罹患率に性差は無かった。11名が社会恐怖(social phobia ; SP)と診断され、GSS得点は高値であった。SAD罹患学生は、SPを高率に合併していた。 (2)対象学生10,871名中、6,443名にGSS・TCI・日照環境情報の不備が無かった。GSS総点・通年平均日照時間・同日射量・TCI7項目を変数として、パス解析を行った。その結果高GSS得点を規定したのは、低い自己指向性と協調性、高い自己超越・新奇追求・損傷回避で、分裂病型人格に該当した。日照環境とには関連は見出されなかった。 【考察】今回の新入生対象の調査では、SAD有病率は凡そ4%で性差は認められなかった。罹患学生にSPが高率に併存していたことは、SAD・SP双方の病態と成因を解明する上で、また治療上貴重な所見である。 GSS得点が日照環境ではなく、特定の人格傾向を反映する点は興味深い。SAD・SP罹患者のGSS得点は共に高値で、併存率の高さも考慮すると共通する生物学的基盤の存在が疑われる。
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Research Products
(6 results)