2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 正志 東北大学, 病院・助手 (70302148)
金澤 素 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70323003)
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Keywords | 脳腸相関 / 過敏性腸症候群 / CRH / 消化管運動 / 消化管知覚 / PET / CRH-R1 / α-helicalCRH |
Research Abstract |
【目的】過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome : IBS)を特徴づける脳内物質を解明することはその克服に直結する。われわれはCRH拮抗薬がIBS患者における内臓知覚の脳内処理過程を改善するという仮説を検証した。 【方法】対象はRome II基準により診断されたIBS患者10例である。健常者20例を対照にした。研究は東北大学医学部倫理委員会で承認され、全対象から文書同意を得た。大腸内視鏡により下行結腸にバロスタットバッグを挿入し、無刺激の後、0,20,40mmHgの大腸伸展刺激をrandomに加えた。次いで、健常者10例に偽薬(生理食塩水、偽薬群)、健常者10例とIBS患者10例にα-helical CRH(10μg/Kg、αhCRH群)を投与し、同様の刺激を加えた。同時にH215Oを正中肘静脈から注入し、positron emission tomography (PET)の手法で局所脳血流の変化を測定した。 【結果】健常者におけるαhCRHの投与は偽薬投与に比較して20mmHgの大腸伸展刺激に対する前帯状回、中部帯状回、前頭前野の活動を有意に低下させた(p<0.0001)。健常者におけるαhCRHの投与は偽薬投与に比較して40mmHgの大腸伸展刺激に対する右前頭前野の活動を有意に低下させた(p<0.0001)。IBS患者は大腸伸展刺激により健常者に比較して脳幹が有意に賦活された(p<0.0001)。IBS患者では40mmHgの大腸伸展刺激時の無投与-αhCRHの差分が健常者の同じ差分に比して右島前部、右前頭前野、海馬傍回で有意に大きかった(p<0.0001)。 【結論】正常ならびに過敏な内臓知覚の双方において、CRHが辺縁系と前頭前野に作用することが示唆された。IBSの治療薬としてCRH受容体修飾薬は有望である。
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Research Products
(7 results)