2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における自然免疫機構の関与の解明とその制御
Project/Area Number |
15390223
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 知史 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50261409)
大竹 孝昭 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10359490)
前本 篤男 旭川医科大学, 医学部, 寄附講座教員 (40400113)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 抗菌ペプチド / 自然免疫 / クローン病 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトの正常な消化管におけるdefensinおよびcathehcidinによる自然免疫機能としての感染防御への貢献を解明するとともに、炎症性腸疾患患者の病変消化管粘膜上皮における自然免疫機構の関与を検討する。消化管上皮細胞の産生する内因性抗菌ペプチドおよび自然免疫認識受容体の分子異常と機能異常を検討することによって、炎症性腸疾患の病因・病態における自然免疫機構異常の関与を解明することを目的とする。さらには内因性抗菌ペプチドをターゲットとする新たな炎症制御の可能性を検討するものである。 本年度は1)クローン病患者単離小腸陰窩より分泌される抗菌ペプチドの分子構造の異常2)炎症性腸疾患モデル動物における内因性抗菌ペプチドの治療効果の検討を行った。 その結果、(1)一部のクローン病患者から分離・精製したパネート細胞α-defensin(HD-5)では、分子内のS-S結合が失われ、proteaseに対する抵抗性を欠くものがみられた。これらの分子のアミノ酸配列自体に異常はみられず、Defensin分子の生合成の課程のうちtranscription, translationには問題なく、その後の分子修飾課程の異常が考えられた。この点、異常の頻度については現在検討中である。一(2)リコンビナントHD-5を合成し、マウスの腸炎モデルに対する経口投与実験を行った。この分子は三次構造が保たれ、trypsinなどのproteaseに対して極めて安定で、経口投与が可能である。この分子をマウスの致死的DSS腸炎モデルに投与すると、投与群での生存率が向上した。現在、ひとつでは発症前より小腸パネート細胞での抗菌ペプチド産生が減少していることが明らかとなっているIL-10KO自然発症腸炎モデルに対して投与を行い、結果を解析中である。
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Research Products
(6 results)