2003 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の病態基盤としての脂肪肝・脂肪性肝炎の発症メカニズムと治療戦略
Project/Area Number |
15390235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 信紘 順天堂大学, 医学部, 教授 (90028358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 達雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80011196)
竹井 謙之 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10306954)
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 講師 (20317382)
榎本 信行 順天堂大学, 医学部, 助手 (20348973)
大草 敏史 順天堂大学, 医学部, 講師 (50160445)
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Keywords | アルコール性肝障害 / NASH / PPAR-γ / レプチン / 炎症性サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
本研究では生活習慣病の病態形成における肝・消化管臓器相関の意義を明らかにし、生活習慣病の予防および治療標的としての消化器病態のリヴィジョンを図ることを目的としている。その具体的目標の一つとして、アルコール性肝障害および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態におけるメタボリックシンドロームの関与を明らかにするべく、動物モデルでの解析を進めている。 本年度は、慢性アルコール投与ラットにおけるPPAR-γアゴニスト(pioglitazone)の肝障害抑制効果およびそのメカニズムに関する解析を論文発表した(Enomoto et al.J.Pharm.Exp.Ther.,2003)。さらに、肝疾患におけるアディポサイトカインの関与を明らかにする一環として、LPS肝障害に対するレプチンの影響について検討した。その結果、レプチンが肝障害に対して保護的に作用することおよび、そのメカニズムとしてレプチンが負荷後のIFN-γおよびケモカイン産生を抑制し、類洞内皮細胞のICAM-1発現を抑制することが明らかになった(投稿準備中)。一方、私たちはこれまでNASHの動物モデルとして頻用されているob/obマウスやZuckerラットは肝線維化が生じにくく、ヒトで見られるNASHの病態とは必ずしも合致しないことを明らかにしてきた(Ikejima et al.,Gastoenterology 2002)。そこで今回はNASHの病態により即した動物モデルの作成を試み、肥満と耐糖能異常を呈するKK/Ayマウスではコリン・メチオニン欠乏食による脂肪性肝炎がより強く惹起され、肝線維化反応も増強していることを見出した。現在その詳細について解析を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Enomoto N, Takei Y, Hirose M, Konno A, Shibuya T, Matsuyama S, Suzuki S, Ikejima K, Kitamura T, Sato N.: "Prevention of ethanol-induced liver injury in rats by agonist of PPAR-γ, pioglitazone"J.Pharmacol.Exp.Ther. 306. 846-854 (2003)
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[Publications] Tsune I, Ikejima K, Hirose M, Yoshikawa M, Enomoto N, Takei Y, Sato N.: "Dietary glycine prevents chemical-induced experimental colitis in the rat."Gastroenterology. 125. 585-775 (2003)
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[Publications] Enomoto N, Takei Y, Hirose M, Kitamura T, Ikejima K, Sato N.: "Protective effect of thalidomide on endotoxin-induced liver injury."Alcohol Clin.Exp.Res.. 27. 2S-6S (2003)
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[Publications] Tsukada S, Enomoto N, Takei Y, Hirose M, Ikejima K, Kitamura T, Sato N.: "Dalteparin sodium prevents liver injury due to lipopolysaccharide in rat through suppression of tumor necrosis factor-α production by Kupffer cells."Alcohol Clin.Exp.Res.. 27. 7S-11S (2003)
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[Publications] Ikejima K, Lang T, Zhang YJ, Yamashina S, Honda H, Yoshikawa M, Hirose M, Enomoto N, Kitamura T, Takei Y, Sato N.: "Expression of leptin receptors in hepatic sinusoidal cells."Comparative Hepatology. 3(Suppl I). S12 (2004)
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[Publications] 山科俊平, 池嶋健一, 榎本信行, 竹井謙之, 佐藤信紘: "アルコール性肝障害におけるKupffer細胞のエンドトキシン感受性変化について."日本アルコール・薬物医学会雑誌. 38. 415-424 (2003)