2004 Fiscal Year Annual Research Report
胆、膵疾患に関わる遺伝子の発現調節、遺伝子多型の関与、発症のメカニスム
Project/Area Number |
15390237
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
宮坂 京子 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 副参事研究員 (90166140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 稔 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 研究助手 (70133634)
瀧口 総一 国立病院, 九州がんセンター・臨床研究部, 研究員 (00280793)
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Keywords | SHIP2 / ALDH2 / 遺伝子多型 / 軽症糖尿病 / 膵臓がん / アルコール |
Research Abstract |
SH2-Containing Inositol 5-Phosphatase 2 (SHIP2)は、生体内に広範に発現しており、phosphatidylinositol -kinase(PI3K)代謝産物であるphosphatidylinositol 3,4,5-Trispholsphyate (PtdIns(3,4,5)P3)のD-5位を脱リン酸化する酵素である。とくに脂肪細胞や骨格筋細胞のおいて、内在する5-Phophatase活性によりPtdIns(3,4,5)P3を代謝することで、インスリンによる糖の取り込みとグリコーゲン合成にいたるシグナルの伝達を抑制する。 プロモーター領域について、ヒトに遺伝子多型が存在するかどうかを検討したところ、現在までに、2ケ所の塩基変異(-157G to T, +121C to T)が検出でき、この変異を2000余名のcohort集団における多型発生頻度を確認した。変異は5%に認められ軽症糖尿病と相関した。 マウスSHIP2遺伝子をクローニングし、トランスジェニックマウスを作製するためのDNA構築を完了した。 アルコールは、ADH2によってacetaldehydeとなり、さらにALDH2によって、酢酸と水に分解される。ALDH2多型の多型はacetaldehyde分解能力が低下または消失し、ADH2atypical型はアルコール分解速度が早い。したがって、ALDH2多型+ADH2atypicalを有する個体は、飲酒後、acetaldehydeの血中濃度が高値を示しやすいといえる。このタイプは欧米人にはほとんどみられず、日本人には比較的多い。Acetaldehydeは、発癌作用を有するとされ、実際ALDH2多型は咽頭、食道癌の発生率が高いことが報告されている。膵臓癌では、男性のみALDH2多型+(ADH2atypical)+飲酒がリスクファクターとなる結果をえた。女性では相関は見られなかった。
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Research Products
(14 results)