2004 Fiscal Year Annual Research Report
心血管病治療の新しい標的としての高レムナントリポ蛋白血症の臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
15390244
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久木山 清貴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅谷 健 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (40262654)
高野 一 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (20362064)
川端 健一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30345706)
比江島 欣慎 山梨大学, 総合分析実験センター, 助教授 (00313809)
杉山 正悟 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90274711)
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Keywords | 高脂血症 / 動脈硬化 / レムナントリポ蛋白 / 虚血性心疾患 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性および内臓脂肪蓄積を主な背景とし、脂質代謝異常、高血圧を伴う症候群である。本シンドロームは極めて高頻度の疾患で正常耐糖能者の10〜15%、耐糖能低下例の40〜60%、2型糖尿病例の約80%に合併し、心血管発症のリスクが正常耐糖能者の約3倍である。メタボリックシンドロームに伴う脂質代謝異常は多彩であり、その病態は複雑である。今回の研究において、高レムナントリポ蛋白血症がメタボリックシンドロームの病態に強く関わり、脂質低下療法の治療標的となりうることを明らかにした。「方法」210名のメタボリックシンドローム症例を対象として、冠動脈疾患危険因子の検討、脂質低下薬(スタチン、フィブラート)の効果、前腕動脈内皮依存性拡張反応を検討した。「結果」高レムナントリポ蛋白血症の存在がメタボリックシンドローム症例における冠動脈疾患合併の最も強力な独立した危険因子であることが明らかとなった(Relative risk7.0,95%CI2.7-17,P<0.0001)。スタチンおよびフィブラートの両薬剤とも投与後1ヶ月にてレムナントリポ蛋白血中濃度を有意に低下させ、6ヶ月後にはさらに低下させた。両薬剤ともメタボリックシンドロームに伴う炎症マーカー(血中CRP値、TNFalpha値)を有意に減少させた。前腕動脈内皮依存性拡張反応の低下は冠動脈イベントの将来の予知因子であることが知られているが、メタボリックシンドロームにおいてはこれが低下しており、今回の脂質低下薬投与によって改善することを明らかにした。脂質低下治療による前腕動脈内皮依存性拡張反応の改善度は、レムナントリポ蛋白血中濃度の低下の程度と最も強く独立して相関した。「総括」高レムナントリポ蛋白血症がメタボリックシンドロームにおける冠動脈疾患発症の病態に強く関わり、脂質低下療法の治療標的となりうることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)