2004 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Mrf2遺伝子による血管平滑筋細胞・心筋細胞への分化誘導の試み
Project/Area Number |
15390253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 昌文 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60360096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 義和 北里大学, 医学部, 助手
和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 分化 / 転写因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
我々は、平滑筋細胞のin vitro分化モデルからクローニングし、血管平滑筋に豊富に存在し平滑筋の分化に関連すると報告したMrf2について、次のような研究結果を得た。 1,Mrf2遺伝子の発現形式の解析:Mrf2C末側の蛋白質を大腸菌で発現し作成したラビット抗Mrf2ポリクローナル抗体は、組織染色に用いるには不適と考えられた。そこで、オリゴペプチドを用いて、β特異的、αβ共通2種類の、計3種類の抗体を作成した。並行して、α特異的発現を検討するためにin situ hybridizationに使うためのコンストラクトを作成した。現在、両方法で、組織発現を検討中である。 2,Mrf2遺伝子による平滑筋細胞の分化誘導のメカニズムについて:プロモーターアッセイで、Mrf2蛋白が、平滑筋分化に重要なCArG boxを含むプロモーター、及び平滑筋特異的プロモーターを活性化するか検討したが、明らかな活性化は認められなかった。また、Mrf2がSRFと共同で、同プロモーターを制御するかを検討したが、やはり活性化は認められなかった。さらに、Mrf2のdeletion mutantを作成して、平滑筋細胞の分化誘導のメカニズムを検討中である。Mrf2の属する遺伝子の一群はクロマチン構造の制御に関すると報告されており、Mrf2も、プロモーターアッセイでは評価できないクロマチンを介した制御をしている可能性がある。 3,Mrf2-adenovirusの作成:Mrf2レトロウイルス・アデノウイルスのコンストラクトを作成した。 以上の研究を、Mukesh Jainらの協力を得て行った。 なお、Mrf2遺伝子のノックアウトマウスが他の研究室から報告され、Mrf2の脂肪細胞の分化・増殖への関連、肥満との関わりが指摘された。動脈硬化と肥満の関係からもMrf2の脂肪細胞での役割についての検討を加えてゆく必要があると思われる。
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