2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄幹細胞と遺伝子導入法を用いた難治性血管病の分子病態解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
15390255
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
上野 光 産業医科大学, 医学部, 教授 (50260378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹栗 靖之 産業医科大学, 医学部, 教授 (60140646)
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
西田 誉浩 九州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50284500)
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Keywords | 血小板活性化因子水解酵素(PAF-AH) / Angiopoietin-1 / 酸化脂質 / 血栓 / 炎症 / 遺伝子導入 / 腫瘍血管新生 / 可溶型受容体 |
Research Abstract |
(1)抗炎症・抗血栓分子群の傷害血管壁への局所遺伝子導入による病態解析を実施した。血小板活性化因子水解酵素(Platelet activating factor-acethylhydrolase : PAF-AH)を導入すると血中のPAF-AH活性や脂質プロファイルには関係なく、強力な抗炎症・抗血栓作用が発揮された。カテコラミン負荷でもNO産生を阻害してもその効果は影響を受けなかった。内膜肥厚も有意に抑制された。変性LDLに対する特異抗体を用いた免疫染色により、傷害後短期間のうちに酸化脂質が血管壁に広範に蓄積すること、PAF-AH導入血管ではその酸化脂質が消失することが明らかになった。一度蓄積した酸化脂質が分解除去されることも確認した。酸化脂質の催炎症作用があらためて認識されるとともに、PAF-AHの抗炎症・抗血栓治療分子としての、さらに粥状動脈硬化を積極的に退縮させる治療分子としての可能性が示された。(2)Angiopoietin-1を導入すると強力な抗血栓・抗炎症作用が発現した。しかしAngiopoietin-1の受容体であるTie2は外膜の微小血管内皮でのみ発現し平滑筋細胞には発現しておらず、どのような機構で治療効果を発揮したのか不明である。(3)マウス骨髄より内皮前駆細胞をクローン化した。この細胞に可溶型血管新生因子受容体を遺伝子導入し、担癌マウスに導入することで治療分子キャリアーとしての可能性を検証した。静注では腫瘍内に到達できなかった。腫瘍周辺に注入すると腫瘍内に取り込まれ抗がん作用を示した。動脈内注入で同様の効果が発揮できるかさらに検討中である。
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Research Products
(6 results)