2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管および糸球体細胞の再生医学の腎疾患治療への基礎的検討
Project/Area Number |
15390265
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺田 典生 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 助教授 (30251531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井下 聖司 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 助手 (00345307)
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Keywords | 腎臓 / 再生 / 尿細管 / 糸球体 / 急性腎不全 / 幹細胞 / 分化 / 慢性腎不全 |
Research Abstract |
末期腎不全により、透析療法に至っている患者数は、全国で24万人を越え、今後、糖尿病性腎症の増加、高齢化に伴う腎硬化症の増加し、さらに透析療法導入患者の増加が予想され、社会医学的な医療費の面からも、これらの疾患に対する抜本的対策が急務である。進行性腎障害の特徴は、一度荒廃した腎組織は二度と回復しない点であり、これらの問題を解決するためには、腎組織の再生が理論上最適ではあるが、その臓器全体の再生は極めて困難と考えられている。現時点でのこれらの疾患に対する治療法としては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、あるいはステロイドホルモン等が用いられているが、抜本的治療法とは言いがたい。進行性腎障害の特徴である荒廃してゆく腎組織を回復させるためには、腎細胞の再生をはかることにより、腎組織と腎機能の回復を期待することができる。そこで、腎ネフロンのなかで、特にその機能が、腎機能を保持するうえで、重要と考えられる、腎糸球体及び、尿細管細胞の再生を検討することにより、進行性腎障害の進行を阻止することと、腎機能の回復を目標とする。まず尿細管細胞に関しては、急性腎不全後に尿細管細胞の増殖が認められる点に注目して、急性腎不全後に出現する可能性のある幹細胞的性格を持つ尿細管細胞の同定、分化を試みる。またマウスES細胞を原基として尿細管細胞の分化誘導を試みるとともに、間質硬化にいたった尿細管をin situで再生することを試みる。申請者らは、すでに、マウスES細胞をEB(embrioid body)細胞に分化させる際、HGFおよび、Activinを添加すると水チャネル(Aquaporin2)を発現することを確認している。このことは、ES細胞から集合尿細管細胞を分化、誘導できることが、示唆され、さらに3次元培養や、尿細管への分化を方向づけたES細胞のin vivoでの導入により、尿細管を再生できる可能性がある。またもう一つのアプローチとして、申請者は胎生期に腎に発現し、尿細管細胞の発生、分化に関与するWnt4と、細胞増殖に関与する転写因子E2F1に注目しており、ラットの虚血性急性腎不全モデルにおいて、再生、増殖の時期に、Wnt4とE2F1が近位尿細管で劇的に発現亢進することを、確認している。
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Research Products
(7 results)