2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 圓裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00223305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60362703)
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00379166)
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Keywords | 幹細胞 / マイクロキメリズム / GFP / 肝臓 / 腎臓 / 妊娠 |
Research Abstract |
我々は、これまでに、骨髄由来の細胞が、傷害を受けた糸球体メサンギウムや尿細管の修復に関与することを報告してきたが、このような現象は、個体内の多くの組織において認められることが知られている。すなわち、骨髄由来の細胞は、循環を介して傷害のある組織にとりこまれ、組織構築に影響を与える性質を有していると考えられる。本年度、我々は、胎児細胞マイクロキメリズムが腎組織に与える影響を検討した。胎児細胞マイクロキメリズムとは、妊娠中および後の母体内に胎児由来の細胞が存在することであり、ヒト女性では、妊娠早期から産後何十年経ても検出された例が報告されている。Semi-allogenicであり、進行性全身性硬化症・シェーグレン症候群・原発性胆汁性肝硬変・橋本病などのGVHD様の特徴をもつ自己免疫疾患の産後発症に関与する可能性も示唆されている。さらに、非自己免疫疾患である慢性肝炎においても関与が報告されている。そこで、我々は、雄EGFPトランスジェニックラットを雌野生型ラットと交配させるモデルを用いて検討を行なった。分娩後6週目の母体ラットにおいて、EGFP陽性細胞が、末梢血・骨髄に存在した。Flow cytometerで調べたところ、末梢血レベルで、10^5個の母体細胞に1個の割合で胎児由来細胞が同定された。分娩後の母ラットに5%エタノール含有水を30日間以上経口投与し、その上、ゲンタマイシン60mg/kg/日を2週間の休薬期間をはさんで計4週間皮下投与することにより、肝蔵と腎臓の傷害モデルを作成したところ、EGFP陽性の肝細胞ならびに腎尿細管細胞が同定された。傷害誘発なしでは、肝臓および腎臓にEGFP陽性細胞は確認されなかった。すなわち、子供の細胞は、妊娠出産を契機に母体の骨髄に進入・生着し、産後の母体で肝臓や腎臓などの臓器傷害を生じた際に、オンジナルの骨髄由来細胞と同様、組織の修復に関与するものと考えられた。傷害が持続的で組織の細胞ターンオーバーが繰り返されれば、このような細胞に由来する遺伝形質が組み込まれる程度も増加すると予想される。
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Research Products
(7 results)