2003 Fiscal Year Annual Research Report
ALSの分子メカニズム解明と新規治療法開発の基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
15390273
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20212540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 哲也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50362976)
永野 功 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80335603)
東海林 幹夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60171021)
林 健 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40314679)
|
Keywords | ALS / SOD1 / トランスジェニックマウス / IGF-1 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンの選択的細胞死を惹起して筋萎縮をもたらす進行性難治性筋疾患である。平成15年度は、前年度までの研究をさらに発展させて、変異SOD1遺伝子を導入したトランスジェニックマウスモデルでは早期からPI3KやAkt, bc12といった生存シグナルの低下が見られるが、この機序として低酸素刺激に対する血管内皮増殖因子(VEGF)'誘導の障害によることを明らかにした。さらにラット脊髄神経根引き抜きモデルにおける運動ニューロン死において、AMPA型受容体のサブユニットGluR2の低下が重要な役割を果たしていることも見いだした。 一方、以上のような分子病態解明の研究と並行して、新しい治療法のin vivoモデルでの開発も同時進行で行い、微量注入浸透圧ポンプを用いてモデルマウスの脊髄腔内に神経栄養因子IGF-1を直接持続注入する治療法を確立し、その治療効果を検討し治療有効性を確認した。腰部脊髄標本を作成し、運動ニューロン細胞数を判定し病理学的にも治療効果を判定したところ、明らかな運動ニューロン数減少抑制効果が認められた。さらに、IGF-1投与脊髄では、生存因子であるbcl2,リン酸化AktとERKが上昇していることを見出し、これが運動ニューロン死抑制の機序として働いていることを明らかにした。ALS患者に対してもこの治療法の有効性を調べるために、患者の同意のもとに微量注入ポンプの皮下埋込みを行いIGF-1を定期的に投与した。この脊髄腔内への神経栄養因子持続注入療法の開発応用も当初予定数が終了し、解析の結果、IGF-1がALSの運動機能低下を遅延させることが判明した。 このように当初目標とした実験動物レベルとヒト臨床の両レベルでの総合的治療法開発の本研究計画は目標どおり達成された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 永野 功 他: "筋萎縮性側索硬化症患者に対するIGF-1髄腔内投与療法の現状"神経治療学. 20. 551-555 (2003)
-
[Publications] Ilieva H, et al.: "Sustained induction of survival p-AKT and p-ERK signals after transient hypoxia in mice spinal cord with G93A mutant human SOD1 protein"Journal of the Neurological Sciences. 215. 57-62 (2003)
-
[Publications] Murakami T, et al.: "Hypoxic induction of vascular endothelial growth factor is selectively impaired in mice carrying the mutant SOD1 gene"Brain Research. 989. 231-237 (2003)
-
[Publications] Nagano I, et al.: "Single-nucleotide polymorphisms in uncoding regions of ALS2 gene of Japanese patients with autosomal-recessive amyotrophic lateral sclerosis"Neurological Research. 25. 505-509 (2003)
-
[Publications] Nagano I, et al.: "Ventral root avulsion leads to downregulation of GluR2 subunit in spinal motoneurons in adult rats"Neuroscience. 117. 139-146 (2003)
-
[Publications] Manabe Y, et al.: "Glial cell-derived neurotrophic factor protein prevents motor neuron loss of transgenic model mice for amyotrophic lateral sclerosis"Neurological Research. 25. 195-200 (2003)