2005 Fiscal Year Annual Research Report
ALSの分子メカニズム解明と新規治療法開発の基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
15390273
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20212540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海林 幹夫 弘前大学, 医学部附属脳神経血管病態研究施設, 教授 (60171021)
永井 真貴子 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (80420488)
林 健 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (40314679)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / トランスジェニックマウス / 髄腔内投与 / IGF-1 / 神経栄養因子 / モデル動物 |
Research Abstract |
本研究の成果は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者において、神経栄養因子であるIGF-1を脊髄腔内に投与し、症状進行の遅延を報告したことである。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の許可の下に、20例近いヒトALS患者に、微量注入ポンプを皮下に埋め込み、IGF-1を脊髄腔内に直接持続注入した。低用量群と比較して高用量群においてNorris Scaleで評価した四肢麻痺などの症状進行遅延作用が認められた。 ヒトへの投与の前に、ALSのモデルマウスである変異SOD1遺伝子導入マウスを用いてIGF-1の脊髄腔内投与を行い、IGF-1の投与量に相関してALSマウスの筋力低下の発症時期が遅延し、生存期間が長くなることを報告した。また、生後6ヶ月のALSマウスの運動能力はIGF-1を投与した群で有意に高く、これに相関して病理所見においても、脊髄前角の運動ニューロンが有意に残存していた。残存した運動ニューロンではリン酸化AktやERKと言った生存シグナルの発現増加が見られ、IGF-1のALS運動ニューロンへの保護作用のメカニズムは生存シグナルの増加によるものであることを明らかにした。さらにメカニズムについては、ALSマウスにIGF-1を投与すると、脊髄前角でIGF-1のレセプターであるIGF-1Rβと細胞内のシグナルタンパク質であるIRS-1の発現の減少を認め、これらのシグナル伝達機構が運動ニューロン保護作用に関与している可能性を指摘した。 運動ニューロン死のメカニズムについては、低酸素負荷したラット脊髄をモデルとした。神経保護作用が報告されているVEGFの受容体であるFlk-1を抑制しても正常ラット脊髄では運動ニューロン死がおきないが、低酸素負荷したラット脊髄の運動ニューロンが著明に減少することから、低酸素下でVEGFが運動ニューロンに保護的な役割を果たすことを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Journal Article] Reduction of a vascular endothelial growth factor receptor, fetal liver kinase-1, by antisense oligonucleotides induces motor neuron death in rat spinal cord exposed to hypoxia.2005
Author(s)
Shiote M, Nagano I, Ilieva H, Murakami T, Narai H, Ohta Y, Nagata T, Shoji M, Abe K.
-
Journal Title
Neuroscience 132(1)
Pages: 175-182
-