2003 Fiscal Year Annual Research Report
肥満・糖尿病に対する遺伝子治療の開発―動物モデルを用いての検討―
Project/Area Number |
15390282
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 秀樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00344664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 泰 東北大学, 医学部附属病院, 助手
石原 寿光 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60361086)
高橋 和眞 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60292215)
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Keywords | 糖尿病 / 肥満 / メタボリック症候群 / インスリン抵抗性 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究は、エネルギー消費の亢進を誘導することを通して、肥満・糖尿病に対する新規治療法を開発することを目的としたものである。実際には、高脂肪食負荷により肥満・糖尿病を発症させたマウスモデルを用い、後天的に遺伝子導入を行うことで、その改善効果やその機序に関して検討している。 ATP産生を抑制し基礎代謝を亢進させる作用を持つ脱共役蛋白UCP1遺伝子を組み込んだアデノウィルスなどのベクターを用いて、肝・脂肪・筋などのインスリン感受性組織に導入することを試みた。 まず、肝臓への遺伝子導入を行ったところ、エネルギー消費は約13%亢進し、導入後数日で、肥満の解消、血糖値の改善、血中脂質の低下といった治療効果を認めた。脂肪肝は著明に改善し、遺伝子を導入していない末梢脂肪組織においても、その肥大化の改善が認められた。さらに、全身におけるインスリン抵抗性やレプチン抵抗性の著明な改善を認めた(投稿中)。これらより、肝における脱共役の亢進は、肥満・糖尿病に対して有望な治療ターゲットであると考えられる。 次に、副睾丸周囲の内臓脂肪組織へのUCP1遺伝子導入により、血糖値・血中脂質値、さらには、レプチン抵抗性の改善を認めている。しかし、全身におけるエネルギー消費の亢進は認められず、この改善効果は、内臓脂肪組織からの何らかのレプチン感受性改善シグナルによるものであると考えられる。 このように、後天的に局所への遺伝子導入を行うという手法を用いることにより、メタボリック症候群に対する治療法の開発につながる結果が得られただけでなく、その成因や機構に関する新たな機序の発見につながる結果をうることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe, M., Inukai, K., Katagiri, H.et al.: "Regulation of PPARgamma transcriptional activity in 313-L1 adipocytes"Biochem Biophys Res Commun. 300. 429-436 (2003)
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[Publications] Fujishiro, M., Gotoh, Y., Katagiri, H.et al.: "Hepatic Akt activation induces marked hypoglycemia, hepatomegaly and hypertrig lyceridemia with SREBP involvement"Diabetes. 52. 2905-2913 (2003)
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[Publications] Ono, H., Shimano, H., Katagiri, H.et al.: "Ethanol feeding induces insulin resistance with enhanced PI 3-kinase activation"Biochem Biophys Res Commun. 303. 788-794 (2003)
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[Publications] Anno, T., Uehara, S., Katagiri, H.et al.: "Overexpression of Constitutively Activated Glutamate Dehydrogenase Induces Insulin Secretion through Enhanced Glutamate Oxidation"Am J Physiol Endocrinol Metab.. 286. E280-E285 (2003)
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[Publications] Yamamoto, A., Fukuda, A., Katagiri, H.et al.: "Supression of arthritic bone destruction by adenovirus-mediated dominant negative ras gene transfer to synoviocytes and oisteoclasts"Arthritis Rheum.. 48. 2682-2692 (2003)
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[Publications] Ito, T., Tokunaga, K., Katagiri, H.et al.: "Coxsackievirus and adenovirus receptor(CAR)-positive immature osteoblasts as targets of adenovirus-mediated gene transfer for fracture healing"Gene Ther. 10. 1623-1628 (2003)