2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的グリセロールチャネルの生理的意義の解明と糖尿病治療への応用
Project/Area Number |
15390287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Keywords | アクアポリンアディポース / アクアポリン9 / グリセロール / 糖尿病 / 脂肪分解 / 肥満 / ノックアウトマウス / 糖新生 |
Research Abstract |
これまでの研究により、私たちがクローニングしたAQPapが脂肪細胞におけるグリセロールチャネルとして機能し(JBC2000)、本分子の発現が絶食で増加、摂食で低下すること、インスリンにより抑制されることを明らかにした(JBC2001)。また、摂食下では血中インスリンの上昇により脂肪細胞AQPap、肝臓でのグリセロールチャネル分子AQP9はともに発現が低下するが、肥満動物ではインスリン抵抗性があり両チャネルの抑制がかからず、高グリセロール血症が持続し糖代謝異常が発症することを明らかにしている(Diabetes2002)。 本研究では、脂肪細胞におけるAQPapの生理的意義の解明と糖尿病治療への応用を視野においたその可能性を評価するため、AQPap欠損マウスの検討を行った。C57BL/6Nの遺伝的バックグラウンドに統一したF5マウスであるAQPap欠損マウスの作製に成功し、8〜10週齢の雄において解析を行った。まず、脂肪細胞特異的グリセロールチャンネルであるAQPapが生体内においてグリセロールの恒常性にどれくらい寄与しているかを検討したところ、摂食時および絶食時ともに血中グリセロール濃度が野生型マウスに比し欠損マウスでは有意に低値であり、逆に脂肪細胞内のグリセロール含量は欠損マウスでは有意に高値であった。脂肪細胞の分化マーカーであるPPARγ、C/EBPαやaP2遺伝子発現には差がみられず、また脂肪細胞内中性脂肪を分解する重要な酵素であるホルモン感受性リパーゼ活性およびその遺伝子発現にも差がなかったことより、欠損マウスにおける低グリセロール血症は純粋にAQPap欠損に基づくものであることを示した。さらに、欠損マウスは絶食状態において著明な低血糖を呈し、肝糖新生の基質として脂肪細胞由来のグリセロールが非常に重要であることを実証した(PNAS2004)。
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Research Products
(6 results)