2004 Fiscal Year Annual Research Report
感染による甲状腺遺伝子発現パターン変化と自己免疫発症との因果関係に関する研究
Project/Area Number |
15390296
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 病原微生物部, 室長 (20206478)
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Keywords | 甲状腺 / Toll様受容体 / dsRNA / 感染 / ヨード / ホルモン合成 / 自然免疫 / ルシフェラーゼ |
Research Abstract |
感染によってもたらされる二本鎖RNA(dsRNA)や非メチル化CpG DNAは、Toll様受容体(TLR)によって認識され、自然免疫発動に重要であることが明らかとなった。そこで、甲状腺細胞自身が自然免疫能を有するか否かを明らかにする目的で、甲状腺細胞におけるToll様受容体の発現と機能について検討した。 ラット甲状腺FRTL-5細胞を用いてRT-PCRを行ったところ、複数のTLR mRNAが確認された。それらが実際に機能しているかどうかを検討するために、FRTL-5細胞にNFκB依存性ルシフェラーゼレポーター遺伝子およびIFNβプロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター遺伝子を導入した後に、各TLR特異的リガンドで刺激したところ、 TLR3リガンドであるdsRNAでこれらが活性化することが判明した。 このTLR3活性化が与える甲状腺機能への影響を検討する目的で、ヒト甲状腺濾胞培養をdsRNAで刺激すると、濾胞内への放射性ヨードの取込みおよび有機化されたヨードの培養液中への放出が有意に抑制された。LPSやPGNなど他のTLRリガンドにはそのような作用はみられなかった。 我々は既に、甲状腺細胞はdsRNAやdsDNAに反応することによって抗原提示能を誘導されることを報告しているが、今回の検討により、dsRNAの作用の一部はTLR3を介したものであること、および、dsRNA刺激が甲状腺機能に対しては抑制的に働くことが明らかとなった(投稿準備中)。
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