2005 Fiscal Year Annual Research Report
感染による甲状腺遺伝子発現パターン変化と自己免疫発症との因果関係に関する研究
Project/Area Number |
15390296
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 生体防御部, 室長 (20206478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武下 文彦 横浜市立大学, 分子生体防御学, 助手 (60333572)
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Keywords | 甲状腺 / 感染 / 自己免疫 / dsDNA / 自然免疫 / B-DNA |
Research Abstract |
我々はこれまでに、感染や組織傷害にともなって放出される二本鎖DNA(dsDNA)が、自己免疫標的臓器である甲状腺細胞などに主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)を初めとする様々な遺伝子発現を誘導し、in vivoで強いアジュバント作用を有することなどを示した。これらのことから、dsDNAによる作用が自己免疫発症誘因の一つである可能性が考えられたが、その詳細は不明であった。本年度は、まずdsDNAによってI型インターフェロンやケモカインなど、自然免疫活性化の際と同様の遺伝子発現が誘導されることを証明した。病原体由来の核酸による自然免疫活性化は、非メチル化CpG DNAやdsRNAがToll様受容体(TLR)やRIG-Iなどによって認識されることで開始される。ところが今回我々は、dsDNAの作用はTLRやRIG-Iを介さない未知の機構によることを明らかにするとともに、右巻き二本鎖構造をとるB-DNAに特異的であることを示した。さらにdsDNAは、TBK1とIKKiやIPS-1などのアダプター分子を介して、NF-κBやIRF3などの転写因子を誘導し、最終的にType I IFNの転写を誘導するという経路を示した。dsDNAは、多くの病原体とともに自己細胞にも豊富に存在することから、組織の変性、傷害時に漏出することによって、より普遍的な内因性アジュバントとして様々な免疫反応の局面で重要な役割を果たしていることが考えられた。
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Research Products
(17 results)