2004 Fiscal Year Annual Research Report
Stat3を介する、好中球造血制御機構と白血病発症機構の解明
Project/Area Number |
15390302
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
下田 和哉 九州大学, 大学病院, 助手 (90311844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 正 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20212219)
原田 実根 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00019621)
長藤 宏司 九州大学, 大学病院, 助手 (60343323)
宮本 敏浩 九州大学, 大学病院, 助手 (70343324)
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Keywords | G-CSF / C / EBPα / Stat3 / ERK / SOCS3 / granulopoiesis |
Research Abstract |
好中球の増殖、分化に必須なG-CSFは細胞内で主にStat3を活性化する。G-CSF刺激で好中球に分化する細胞株32DC13と、これにdominant-negative型Stat3を導入することによりG-CSFで分化せず増殖するようになるdnStat3/32DC13において、G-CSF刺激後に誘導される遺伝子の違いをマイクロアレイを用いて検討し、Stat3がc/EBPαの転写を誘導することを見出した。dnStat3/32DC13にc/EBPαを強制発現させると、好中球へ分化した。しかし、ミエロペルオキダーゼなどの遺伝子発現は回復せず、これらG-CSFにより発現が誘導される遺伝子の一部は、c/EBPα以外により調節されていることが判明した。 次にStat3の造血における役割を、血球特異的Stat3欠損マウスを用いて検討した。Stat3が欠損しても好中球系細胞は存在し、(減少ではなく)むしろ増加していた。骨髄細胞を用いたin vitroでのコロニー形成能、細胞増殖能は、Stat3が欠損するとG-CSFに対する反応性がより亢進していた。Stat3欠損細胞では、定常時にも好中球は活性化されており、しかもG-CSFの刺激は増強されていたので、MAPキナーゼの検討を行った。Stat3欠損骨髄細胞においては、Erkの恒常的活性化が見られ、G-CSFで刺激するとその活性化がコントロールマウスと比べ増強した。また、MAPキナーゼの阻害剤を添加すると、G-CSF刺激により増強されていた骨髄細胞のコロニー形成、増殖能がコントロールマウスと同程度まで低下した。これらのことから、G-CSF刺激で活性化されるStat3は、G-CSFのシグナルを負に制御すること、G-CSFによる好中球造血にはStatではなく、MAPキナーゼを介する経路が主に働いていることが判明した。
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Research Products
(11 results)