2003 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の発生と分化転換を制御する遺伝子群の同定
Project/Area Number |
15390308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 士毅 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (40342919)
中山 由紀 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (30332381)
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Keywords | 造血幹細胞 / AGM領域 / 分化転換 / 遺伝子 / 発生 / 骨髄幹細胞 / 血液細胞 |
Research Abstract |
ES細胞を2.75日分化誘導した胚様体に存在するヘマンジオブラストと、骨髄造血幹細胞とをセルソーターにて分取し、RDA法とアンプリコンサザンブロット解析により、造血幹細胞で発現上昇する遺伝子を39種類(既知24、機能未知15)同定した。その中の機能未知遺伝子S76,C1を標的として選び、siRNA-EGFPレトロウイルスベクターを利用してそれらのmRNA発現を特異的に抑制させた。コントロールsiRNA-EGFRレトロウイルスを感染させた培養系ではEGFP+CD45+(血球)細胞が全体の約15%であったのに対して、同等の感染価のS76あるいはc1 siRNA-EGFPレトロウイルスを感染させた培養系のEGFP+CD45+細胞の比率は著しく低下した。TPOを添加した無血清培養系でのin vitro培養において、S76遺伝子の発現抑制は骨髄造血幹細胞の増殖を阻害した。しかし、血清とIL-3,IL-6を添加した培地では、S76を抑制したとしても骨髄造血幹細胞はin vitro増殖したことから、この遺伝子産物はTPO/Flt3Lを介した造血幹細胞シグナル伝達に関与している可能性がある。一方、C1遺伝子の発現抑制は、培養条件にかかわらず骨髄造血細胞のin vitro増殖を抑制した。C1 mRNAの抑制は血管内皮様細胞株の増殖も部分阻害したため、C1遺伝子産物は、細胞周期あるいは細胞生存に関わっていると推察される。さらに興味深いことにC1 mRNAの抑制はS76遺伝子の発現も抑制した。したがって、C1はS76の上流で作する。S76,C1ともに遺伝子産物の実体は相同性・モチーフ検索からは不明であるため、今後はそれぞれのcDNAがコードするタンパク質の局在や結合パートナーの検索および遺伝子破壊マウスの作製によりS76,C1遺伝子の実体と機能の解明に挑む。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Minegishi N, Suzuki N, et al.: "Expression and domain-specific function of GATA-2 during differentiation of the hematopoietic precursor cells in midgestation mouse embryos."Blood. 102. 896-905 (2003)
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[Publications] Tamura K, Hara T, et al.: "Enhanced expression of uterine stathmin during the process of implantaion and decidualization in rats."Endocrinology. 144. 1464-1473 (2003)
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[Publications] 原 孝彦: "発生における細胞増殖制御-造血幹細胞分化と増殖制御"シュプリンガー・フェアラーク東京. 10 (2004)