2004 Fiscal Year Annual Research Report
CD1・脂質抗原提示系に着目した、新しい抗結核ワクチンの開発
Project/Area Number |
15390317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)
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Keywords | CD1 / 脂質抗原 / 結核菌 / ワクチン |
Research Abstract |
結核菌細胞壁を構成する脂質や糖脂質を認識して活性化されるグループ1CD1(CD1a、CD1b、CD1c)拘束性キラーT細胞が存在する。これらのT細胞は、結核菌感染細胞および細胞内に寄生した結核菌を効率よく排除することから、結核菌感染防御のエフェクター細胞として機能すると考えられる。したがって、結核菌から精製した脂質や糖脂質をワクチンとして用いることにより、CD1拘束性T細胞が活性化され防御免疫が誘導されるという考えのもと、本研究を展開してきた。本年度、ヒト結核の有用なモデル動物であるモルモットを用い、生体内で誘導される結核菌脂質特異的CD1拘束性免疫応答の詳細な解析を行った。まず、ウシ型結核菌の弱毒化ワクチンであるBCGをモルモットに投与すると、BCG由来蛋白抗原に対する免疫応答だけでなく、BCG由来脂質抗原に対するCD1拘束性T細胞反応や抗体産生が惹起されることを確認した。次に、モルモット骨髄よりCD1陽性樹状細胞を誘導し、BCG脂質抗原をパルスしたのち、モルモットに投与したところ、BCG脂質特異的なT細胞応答が脾臓内に誘導されることが明らかとなった。このことは、脂質抗原パルス樹状細胞が、抗結核ワクチンとして有効に機能する可能性を示唆している。現在、薄層クロマトグラフィーを用いて分画、精製した種々の脂質や糖脂質抗原を樹状細胞にパルスし、モルモットに投与することによって誘導されるT細胞応答のマグニチュードや機能を比較検討することにより、抗原活性の高い脂質、糖脂質抗原のスクリーニングを行っている。
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