2004 Fiscal Year Annual Research Report
個体における遺伝子操作を用いた横紋筋肉腫の発症機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
15390319
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 富 東北大学, 大学院・医学系研究, 教授 (40125638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 哲生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10183550)
中村 潤 東北大学, 病院・講師 (50282067)
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Keywords | 横紋筋肉腫 / patched / Nevoid Basel Cell Carcinoma Syndrome / ソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル / コンディショナル・ジーンターゲティング法 / 横紋筋特異的Ptc1欠損マウス |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子patchedの異常により発症するNevoid Basal Cell Carcinoma Syndromeに伴う腫瘍の一つとして、横紋筋肉腫が報告されている。このことは、横紋筋肉腫の発生にpatcbedを介したソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの異常な活性化が関与していることを示唆している。そこで、本研究ではコンディショナル・ジーンターゲティング法を用いてマウス横紋筋特異的にpatched(以下、Ptc1)を欠損したマウスを樹立し、解析することで生体内におけるShhシグナルの異常な活性化による横紋筋肉腫発生への関与を直接的に検証することを試みた。 Bruningらが報告したMCKプロモーター制御下にCreを発現するTGマウスと、コンディショナルPtc1マウスとの交配を行い、横紋筋特異的Ptc1欠損マウス(MCK-Cre/Ptc1S/Sマウス)の作製を試みたところ、この変異マウスは、ほぼメンデル則の割合で得られた。横紋筋特異的なCreの発現はこのTGマウスとROSAとの交配後、LacZ染色により確認した。 MCK-Cre/Ptc1S/Sマウスは、生後1年までの長期経過観察では成長不良や腫瘍の発生は認められず、また、解剖時のマクロ所見においても明らかな腫瘍や形態異常等は認めなかった。Ptc1遺伝子変異の導入効率の計測は、同一個体におけるCreを発現する臓器として横紋筋と心筋、またCreを発現しない臓器として肝臓、腎臓からDNAを抽出しサザンブロット法を用いて行い、横紋筋特異的にPtc1の欠損を確認した。現在、ノーザンブロット及びRT-PCRにより、Shhシグナルの下流分子として考えられているGli1、igf-2の発現の定量を行いShhシグナルの活性化が横紋筋の分化発生に及ぼす影響を、更に組織レベルではH&E染色、免疫化学染色による組織像の評価を詳細に検討している。
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