2004 Fiscal Year Annual Research Report
重症複合免疫不全症に対する安全性を高めた新しい遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
15390320
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久間木 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (20311566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 滋 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30124605)
笹原 洋二 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60372314)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / 重症複合免疫不全症 / X-SCID / γc鎖 / 遺伝子治療 / 自殺遺伝子 |
Research Abstract |
1.日本全国および韓国から依頼された重症免疫不全症患者の遺伝子診断を継続的に実施しており、これまでX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)をはじめ、Jak3欠損症、IL-7受容体欠損症、RAG1欠損症、Artemis欠損症を同定している。 2.変異蛋白が発現している重症免疫不全症に対する遺伝子治療を安全に施行するための簡易アッセイ系をX-SCID患者をモデル系として確立した。これは変異蛋白がドミナントネガティブ効果を持つかどうかについてc-fosをターゲットとして評価するアッセイ系である。 3.X-SCIDに対する遺伝子治療ではその有効性と同時に、レトロウイルスベクターの挿入変異による癌化が問題となった。これまでX-SCIDに対する遺伝子治療の有効性は証明されており、安全性を高めたベクターの開発が望まれる。そこで我々は自殺遺伝子を責任遺伝子γc鎖と共に組み込んだベクターを作成し、挿入変異が起こってしまった際でも、癌化した細胞を排除できるように工夫した。自殺遺伝子としてはI型ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを用い、ガンシクロビルで遺伝子導入細胞を培養すると、遺伝子治療用ベクターが組み込まれている細胞は死滅する。患者から樹立したB細胞株に上記レトロウイルスを感染させ、γc鎖の発現を確認後、10mMのガンシクロビルで培養したところ、72時間後にはγc鎖を発現した細胞が消失した。X-SCIDマウスを用いた遺伝子治療も施行した。一連の研究に用いたレトロウイルスベクターバックボーンは既に遺伝子治療臨床研究で実績のあるSFCMM3であったが、長期間の培養の間に不活化が起こることが判明した。このため、メチレーションなどの不活化が起きにくいベクターを用いた研究を開始した。 4.倫理面での配慮 SCID患者の遺伝子診断については、倫理委員会にて承認されている説明文と同意書を用いインフォームドコンセントを得ている。
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Research Products
(6 results)