2005 Fiscal Year Annual Research Report
重症複合免疫不全症に対する安全性を高めた新しい遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
15390320
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久間木 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (20311566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 滋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30124605)
笹原 洋二 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60372314)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / 重症複合免疫不全症 / X-SCID / γc鎖 / 遺伝子治療 / 自殺遺伝子 |
Research Abstract |
遺伝子治療の安全性を高める目的で、遺伝子導入細胞が癌化した場合に備えあらかじめ治療用レトロウイルスベクターに自殺遺伝子HSVtkを組み込んでおく方法を考案した。自殺遺伝子を責任遺伝子γc鎖と同時に発現させた場合、免疫系は再構築され、機能は少なくとも半年間維持された。さらにガンシクロビルを投与し自殺遺伝子を働かせると遺伝子導入細胞をすべて消し去ることができることができた。このことから、XSCID遺伝子治療に対する自殺遺伝子の応用の可能性が示唆された。また、目的遺伝子をがん遺伝子などの存在しない特定の部位へ組み込むことができれば、安全性は高まると考えられる。ファージφC31インテグラーゼを用いた実験では造血細胞系に遺伝子を導入した場合、染色体18p11.2のpseudo-attP部位に特異的に組み込まれる傾向にあることを明らかにし、一方、レトロウイルスベクターの挿入変異で白血病化の原因となったLMO-2近傍には組み込まれないことを示した。 さらに臍帯血を用いてex vivoで造血幹細胞の形質を保つための工夫を行ったところ、Ex-vivo 15+1%ヒトアルブミン+SCF+Flt3L+TPO+IL-3で8日後にCD34+CD38-のより未熟な幹細胞が26%と保たれていることを見いだした。この条件は従来のEx-vivo10+4%FCS+SCF+Flt3L+TPO+IL-3でCD34+CD38-が0.5%であったことに比べ有意に造血幹細胞の形質が保たれており、臨床応用に最適であると考えられた。また、厚生労働省から承認を受けているX-SCIDの遺伝子治療の予備実験をX-SCID患者骨髄細胞を用いて行い、約25%の遺伝子導入効率が得られたが、3例めの白血病が発生したと報告されたため、実施を保留している。
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Research Products
(5 results)