2004 Fiscal Year Annual Research Report
合成VII型コラーゲンを用いる新しい創傷治療戦略の開発
Project/Area Number |
15390336
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00146672)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 大輔 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60196334)
秋山 真志 北海道大学, 大学病院, 講師 (60222551)
|
Keywords | 創傷治癒 / 表皮水疱症 / 栄養障害型 / 重症 / VII型コラーゲン / 蛋白補充 / 遺伝子導入 / 皮膚潰瘍 |
Research Abstract |
VII型コラーゲンは、表皮真皮境界部に存在するアンカリングフィブリルの構成成分であり、表皮と真皮の接着に最も重要な分子の一つである。近年、VII型コラーゲンの遺伝子に変異で生ずる栄養障害型表皮水疱症やVII型コラーゲンに対する自己抗体が産生される後天性表皮水疱症では、創傷治癒が著明に遷延することが知られている。本研究の目的は、合成VII型コラーゲン外用によって創傷治癒が促進されることを証明し、合成VII型コラーゲンを用いる新しい創傷治療戦略を開発することであった。平成16年度は、1)大量VII型コラーゲン蛋白の合成と精製をはじめに行った。VII型コラーゲン発現プラスミドをHaCaT細胞、NIH3T3細胞、293細胞に導入して抗生剤G418にて選択し、stableの系を作成した。VII型コラーゲンの発現量を比較すると、293細胞が一番よかったので、その細胞の培養上清からVII型コラーゲンを大量に回収している。2)その合成VII型コラーゲンを用いて、単層培養細胞での創傷治癒促進作用を検討した。VII型コラーゲン発現の全くないノックアウトマウス、VII型コラーゲン遺伝子の発現のない重症劣性栄養障害型Hallopeau-Simens型患者の表皮細胞と線維芽細胞を単層培養した。それらの細胞遊走能を観察した所、正常コントロールに比較して低下していることが確認され、合成VII型コラーゲンを加えると、回復する傾向があることを確認した。さらに、そのVII型コラーゲンを実験的潰瘍に投与すると、治療効果が認められ、VII型コラーゲンの抗潰瘍剤としての可能性を指摘できた。これにより、今回の研究目的である、合成VII型コラーゲンを用いる新しい創傷治療戦略の開発は達成できたと考えられた。
|
Research Products
(8 results)