2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗原タンパク質細胞内導入法を用いた腫瘍ワクチン療法の検討
Project/Area Number |
15390339
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柴垣 直孝 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (40262662)
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Keywords | ワクチン / 樹状細胞 / 腫瘍免疫 / protein transduction / TAT / polyarginine |
Research Abstract |
HIV TATタンパク質内に存在するprotein transduction domain(PTD)(YGRKKRRQRRR)を含むリコンビナント融合タンパク質(rTAT-PTD protein)は、細胞外より迅速かつ効率的に殆どの細胞内へ導入されることが知られており、過去に我々は、樹状細胞(DC)へのrTAT-PTDタンパク抗原導入法が、ワクチン療法として利用できることを2種類のマウスモデルを使って証明した。この方法を用いると、導入されたタンパク抗原はDC内でプロセス処理されMHC class I及びclass II上に発現されること、また導入したDCをin vivo皮内投与したマウスを解析した結果、強力な抗原特異的CTLの誘導および腫瘍細胞の縮小効果が確認された。しかし担癌マウスの腫瘍塊を完全拒絶することはできなかった。 近年、TAT-PTD以上に細胞導入効率のよいPTDがいくつか報告されている。今回我々は、アミノ酸配列の異なる3種類のPTDをN末に含有するリコンビナントOVA融合タンパク質を作製、精製し、in vitroにおけるDCへの導入効率、プロセス処理された上でのMHC class I,class II上への提示効率、及び抗原特異的CD4+,CD8+ T cell活性化能を比較検討した。その結果、DCに導入した場合、各PTDには導入効率に基づく抗原特異的免疫反応の差異が認められ、またTAT-PTD以上にCD4+,CD8+T細胞両者を活性化しうるPTD(polyarginine; R9)が確認された。以上の結果を基にin vivo tumor treatment studyを行ったところ、R9-PTD-OVA-DCで2回免疫した群は、TAT-PTD-OVA-DCと比較し有意な腫瘍縮小効果が認められ、また免疫時にadjuvantであるLPS,OK432を共投与したところ、腫瘍塊は全てのマウスにおいて完全に拒絶された。本法はペプチド療法では期待できないhelper T細胞の活性化を強力に惹起するため、有力なワクチン療法であると考えられ、また臨床応用した場合の有効性も期待できると思われる。
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