2003 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム包埋インターフェロンβ遺伝子による進行期悪性黒色腫の遺伝子治療臨床研究
Project/Area Number |
15390340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斎田 俊明 信州大学, 医学部, 教授 (10010381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 仁美 信州大学, 医学部, 助手 (60234481)
宇原 久 信州大学, 医学部, 講師 (40201355)
松本 和彦 信州大学, 医学部, 講師 (40165882)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 遺伝子治療 / インターフェロンβ遺伝子 / 正電荷リポソーム / 免疫遺伝子治療 / 臨床研究 |
Research Abstract |
本年度の研究実績を以下に記す。 1.名古屋大学医学部附属病院遺伝子治療製剤調整室にて作製した遺伝子製剤IAB-1(インターフェロンβ遺伝子発現プラスミドpDRSV-IFN-βを正電荷多重膜リポソームに包埋した製剤)を凍結乾燥製剤として信州大学皮膚科へ運搬した。その活性をELISA法にて測定し、品質が保持されていることを確認した。 2.信州大学医学部附属病院遺伝子治療臨床研究審査委員会にて適格と判定された63歳男性の患者に対し、同年1月19日より左臀部の皮膚転位巣(5.4x3.2mm)へIAB-1の局注を開始した。DNA量として1回10μgを1週間に3回、計6回、腫瘍巣内とその周囲へ注入した。その結果、以下のような効果がえられた。 (1)注入転移巣は4回目の注入頃より痂皮を生じ、平坦化してきた。投与終了8日目には痂皮が脱落し、軽い線維化様の浸潤を触れるのみとなった。3月2日(投与終了後33日目)にこの部を生検したところ、組織学的には泡沫状の組織球浸潤と線維化が主体の所見であり、腫瘍細胞は完全に消失していることが確認された。 (2)左大腿前面に多発していた微小な皮膚転移巣は、製剤投与中は新生が止まり、一部のものは周囲に発赤を生じ、痂皮を付した。生検にてリンパ球のかなり強い浸潤(CD4:CD8=1:1)と腫瘍細胞の顕著な変性像が認められた。免疫染色にて治療前は陰性であったHLA-classIIの発現が腫瘍細胞にみられた。 (3)左大腿前面の微小皮膚転移巣は治療終了10日目頃から再び増数し始めた。また画像上、新たな転移の出現はみられなかったが治療開始前から存在していた縦隔・肺野の転移巣が終了4週後にはやや増大していた。 (4)以上、この第1例目では局所効果は顕著に認められたが、全身的効果としてはPD(進行)と判定された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Koganehira, Y., et al.: "Reduced expression of actin-binding proteins, h-caldesmon and calponin h1, in the vascular muscle inside melanoma lesions"Br J Dermatol. 148. 971-980 (2003)
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[Publications] Ryuke, Y., et al.: "Growth inhibition of subcutaneous mouse melanoma and induction of natural killer cells by liposome-mediated IFN-β gene therapy"Melanoma Res. 13. 349-356 (2003)
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[Publications] Ito, A., et al.: "Tumor regression by combined immunotherapy and hyperthermia using magnetic nanoparticles in an experimental subcutaneous murine melanoma"Cancer Sci. 94. 308-313 (2003)
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[Publications] Cochran, AJ., et al.: "The place of lymphatic mapping and sentinel node biopsy in oncology"Int J Clin Oncol. 18. 139-150 (2003)
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[Publications] Guan, X., et al.: "ASC/TMS-1, a caspase-1 activating adaptor, is downregulated by aberrant metylation in human melanoma"Int J Cancer. 107. 202-208 (2003)
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[Publications] Nagayama, H., et al.: "Results of a phase I clinical study using autologous tumour-lysate-pulsed monocyte-derived dendritic cell vaccinations for stage IV malignant melanoma patients"Melanoma Res. 13. 521-530 (2003)
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[Publications] Saida, T., et al.: "Atlas of Dermoscopy"Parthenon Publishing(London)(in press). (2004)