2005 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム包埋インターフェロンβ遺伝子による進行期悪性黒色腫の遺伝子治療臨床研究
Project/Area Number |
15390340
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斎田 俊明 信州大学, 医学部, 教授 (10010381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 和彦 信州大学, 医学部附属病院, 助教授 (40165882)
宇原 久 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (40201355)
久保 仁美 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (60234481)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 遺伝子治療 / インターフェロンβ遺伝子 / 正電荷リポソーム |
Research Abstract |
本研究は、正電荷リポソーム内にインターフェロンβ遺伝子発現プラスミドを封入した製剤を悪性黒色腫の皮内・皮下転移巣へ局注し、有害反応の有無、安全性を評価するとともに、局所的・全身的効果を検討する第I/IIa相の臨床研究である。計5症例に実施する計画であり、前年度までに3症例に施行している。今年度は残りの2症例(症例4、症例5)に本遺伝子治療を実施した。症例4は71歳男性、右足底原発の悪性黒色腫で、右下腿に無数の皮内・皮下転移巣が多発していた。このうち3個の転移巣を選び、DNA量として各10ugのインターフェロンβ遺伝子を週3回、計6回局注した。これによって2個の転移巣は平坦化したが、うち1個はその後、再び増大した。非注入転移巣は増大、増数した。有害反応はとくに認められなかった。以上より、全体としてPDと判定された。症例5は61歳女性、右足底原発の悪性黒色腫で、右下肢皮膚、右下大動脈周囲〜後腹膜腔リンパ節に転移を多発していた。右大腿の皮内転移巣に1回10ugのインターフェロンβ遺伝子を週3回、計6回局注した。局注転移巣の増大は止まり、治療4週間後まで他の転移巣も増大せず、転移の新生もみられなかった。有害反応は認められなかった。以上より、全体としてNCと判定した。 以上のように、本年度で本臨床研究の予定症例数への遺伝子治療の実施を終了した。実施5症例において有害反応は認められず、本遺伝子治療の安全性が確認された。臨床効果はNC1例、MR1例、PD3例であった。とくに症例1では非局注転移巣に対する効果も認められ、注目された。今後、採取した検体等を用いて基礎的な解析を進める予定である。
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Research Products
(7 results)