2004 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥/多動性障害(ADHD)における神経ステロイドの役割に関する研究
Project/Area Number |
15390345
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
富樫 廣子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20113590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 充弘 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40182729)
佐久間 一郎 北海道大学, 医学部付属病院, 講師 (40260393)
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Keywords | 注意欠陥 / 多動性障害 / 神経ステロイド / アンドロゲン受容体 / エストロゲン受容体 / 大脳前頭皮質機能 / 去勢 |
Research Abstract |
注意欠陥/多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder ; ADHD)は不注意、多動性および衝動性を中核症状とし、主に幼児期から学齢期の児童に認められる軽度発達障害として位置づけられている精神疾患である。AD/HD児には認知面の問題もあり、これが学業や社会生活における問題に関わっている可能性が指摘されている。病因は不明であり、男児に多く発現することから、環境ホルモンの影響も懸念されている。本研究では、ADHDに類似した行動学的特性を有するモデル動物である脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いて、男児優勢における関連分子としての神経ステロイドの病態生理学的役割を追究した。ADHDにおいて血流の低下等の機能不全が報告されている大脳前頭皮質に焦点を当て、去勢(睾丸あるいは卵巣摘出)SHRSPの行動学的特性との関連性を検討した。その結果、本モデルに雄優勢性に認められる不注意力を背景とした短期記憶障害が、睾丸摘出によって改善すること、障害の認められない雌性ラットの短期記憶が卵巣摘出によって障害されること、これら去勢による行動学的変化はそれぞれアンドロゲンやエストロゲン等のホルモン補充処置によって去勢前に復することを明らかにした。さらに、これら行動変化とアンドロゲン受容体およびエストロゲン受容体発現変化との関連性から、ADHD児における大脳前頭皮質機能不全の背景にある分子機構を示唆する結果を得た。これら研究成果は、米国神経科学会議年会や日本精神神経薬理学会等、国内外の学会において発表し、EndocrinologyやBrain Research等国際誌に論文としてまとめた。
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Research Products
(7 results)