2003 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者における聴覚性感覚記憶内の時間圧縮現象の研究
Project/Area Number |
15390346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
矢部 博興 弘前大学, 医学部, 助教授 (60210316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 直 弘前大学, 医学部, 教授 (40106852)
篠崎 直子 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (20292162)
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Keywords | MMN / 聴覚性感覚記憶 / 時間統合機能 / 時間圧縮 / 脳波 / 脳磁図 |
Research Abstract |
ヒト脳の感覚記憶に符号化され記憶された神経的に表現された聴覚情景の中に流れる時間は、現実世界の時間の流れとは異なっている可能性がある。ヒトには音の変化を自動的に検出する機構が備わっているが、その基盤にある感覚記憶は一次聴覚野近傍に発生源を持つMMN反応に反映される事が知られている。これまでのMMN研究から、繰り返し音の様々な要素の膨大な情報が、時間統合機構によって約160-170msの時間方向の神経表現として、感覚記憶に符号化されている事がわかってきた。本研究では、脳皮質に神経的に表現された聴覚世界の中で、時間の流れはどのように表現されているのかを、全頭型脳磁図を使用して、健常者において神経的に表現された"時間"の様態を詳細に捉えるとともに、感覚記憶の障害が指摘されている統合失調症において幻聴や反応速度の関連性を調査する。 本年度は、健常者に対し、現実世界での時間の流れと感覚記憶に維持された聴覚情景の中での時間の流れを、複雑音に組み込まれた欠落情報をプローブとして用いて比較した。その結果、複雑音で得られた磁気MMNの潜時に反映されるような、前部と後部の欠落セグメント間の符号化された音情報の時間の長さは、実時間に較べて有意に短かった。これは、"時間"が、脳皮質に神経的に表現された聴覚情景の中で圧縮されている事を示唆していた。この時間圧縮の現象は、知覚の変容や反応の減退に強く関わっていると考えられる。以上の結果については、今秋以降に公表予定である。上述した時間現象の一部は、統合失調症のMMN(佐藤ら、臨床脳波、2003)、時間統合機能の周波数特性(Shinozaki et al., Brain Res Cogn Brain Res, 2003)、MMNの総説(矢部ら、臨床脳波、2003;平田と矢部、痴呆症学、2003;矢部、精神神経学雑誌、2004)、時間と認知(Czigler et al., Time and Mind, 2003)として公表した。その他、時間統合機能について公表した(MMN2003, Lyon, 2003)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Koyama S, Yamada R, Gunji A, Roberts TPL, Yabe H, Kakigi R: "Cortical evidence of the perceptual backward masking effect on /1/and/r/ sounds from a following vowel in Japaneses peakers"NeuroImage. 18. 962-974 (2003)
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[Publications] 佐藤泰治, Carles Escera, 矢部博興, 篠崎直子, 晝間臣治, 須藤武行, 梨田忠良, 石山哲, 松岡貴志, 兼子直: "統合失調症(旧精神分裂病)における不随意的注意メカニズムの障害について-N1,MMN,P3a成分ならびにRTを指標として"臨床脳波. 45. 69-75 (2003)
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[Publications] Shinozaki N, Yabe H, Sato Y, Hiruma T, Sutoh T, Matsuoka T, Kaneko S: "Spectrotemporal window of integration of auditory information in the human brain"Brain Res Cogn Brain Res. 17. 563-571 (2003)
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[Publications] 矢部博興, 篠崎直子, 松岡貴志, 長谷川智明, 朝井廉, 佐藤泰治, 須藤武行, 晝間臣治, 兼子直: "Mismatch negativityの発生源に関する最近の知見"臨床脳波. 45. 547-551 (2003)
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[Publications] 平田幸一, 矢部博興: "電気生理学的検査 事象関連電位 N200(N2)"痴呆症学(1)-高齢社会と脳科学の進歩-臨床編 VIII.痴呆の診断. 61. 416-421 (2003)
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[Publications] 矢部博興: "Mismatch negativityの反映する感覚記憶の研究とその臨床的意義"精神神経学雑誌. 106. 1-16 (2004)
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[Publications] Czigler I, Winkler I, Sussmann E, Yabe H, Horvat J, (Eds.) Helfrich H: ""Temporal characteristics of auditory event-synthesis : Electrophysiological studies" in "Time and Mind II : Information Processing Perspectives""Hogrefe & Huber Publisher. 117-124 (2003)