2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト概日リズムシグナル伝達様式の多様性とその加齢変化に関する研究
Project/Area Number |
15390347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
三島 和夫 秋田大学, 医学部, 助教授 (40239223)
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Keywords | 概日リズム / 時計遺伝子 / 生物時計 / 単核球、多核球 / メラトニン |
Research Abstract |
ヒト単核球および多核球内を試料として、9種類の時計遺伝子、Per1、2、3、Clock、BMAL1、Timeless、Cry1、2、Casein kinase、及び、内部標準補正用のβ一actin等の数種類のhouse keeping gene発現定量法を確立した。標的遺伝子の転写量測定は、配列特異的な蛍光標識オリゴヌクレオチドをプローブとするReal Time-PCR法を採用し、Roche社LightCycler法及びABI社Taqman法の二種を比較し、データの再現性を確認した上で、後者を標準法とした。初年度である本年度は、健常若年成人7名(平均年齢21歳、19〜24歳)、健常高齢者3名、アルツハイマー病患者1名を対象として、修正型コンスタントルーチン法を用いて上記時計遺伝子の転写リズム特性を評価した。若年及び高齢群では、睡眠表とアクチグラフにより睡眠・覚醒リズムの規則性を確認した後に7日間の生活統制を行い、睡眠、身体機能スクリーニングに続いて、室内照度、体動、カロリー摂取、放熱環境などのマスキングを厳密に統制した環境下で覚醒直後の08時(平均入眠時刻=00時)から連続28時間にわたり各種概日リズムマーカーを連続測定した。若年被験者の深部体温、メラトニン及びコルチゾール分泌リズム位相及び振幅は正常型を示した。単核球および多核球では末梢循環数や細胞機能リズムのピーク位相が異なるにもかかわらず、両分画細胞ともに各遺伝子位相(acrophase;コサイナー法による)は同一位相を示した。両分画細胞でのhPer1転写リズム位相には相互に正の相関関係が認められた(r=0.803,P<0.03)。さらに、両分画細胞ともにhPer1転写リズムのacrophaseは07-09時に出現し、各被験者での生物時計の位相マーカーであるメラトニン分泌リズム位相との間に高い正の相関が認められた(r=0.939,P<0.01)。これらの知見は、生物時計からの直接的な神経投射を受けていない末梢多核球及び単核球もまた、生物時計支配下に液性因子を介してリズム同調を受けていることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Echizenya M, Mishima K, Satoh K, et al.: "Heat loss, Sleepiness, and Impaired Performance after Diazepam Administration in Humans"Neuropsychopharmacology. 28. 1198-1206 (2003)
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[Publications] Echizenya M, Mishima K, Satoh K, et al.: "Enhanced heat loss and hypersensitivity to diazepam in the elderly"J Clin Psychophamacol. (in press). (2004)
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[Publications] Satoh K, Mishima K, Inoue Y, et al.: "Two pedigrees of familial advanced sleep phase syndrome in Japan"SLEEP. 26. 416-417 (2003)
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[Publications] Tozawa T, Mishima M, Satoh K, et al.: "Stability of human sleep timing against the biological clock phase in the elderly : Clinical implications"J Clin Endocrinol Metab. 88. 4689-4695 (2003)
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[Publications] 三島和夫: "睡眠・覚醒を維持する脳内神経メカニズム"成人病と生活習慣病. 33. 1171-1177 (2003)
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[Publications] 三島和夫: "高齢者で問題となりやすい睡眠障害"最新医学. 59. 91-97 (2004)