2006 Fiscal Year Annual Research Report
非定型精神病の客観的な診断法の確立に向けた総合的研究
Project/Area Number |
15390350
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 拓二 京都大学, 医学研究科, 教授 (80173011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 俊哉 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30335286)
石津 浩一 京都大学, 医学研究科, 助手 (50314224)
深尾 憲二朗 京都大学, 医学研究科, 助手 (60359817)
山岸 洋 北野病院, 神経精神科, 部長 (80239871)
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Keywords | 内因性精神病 / 統合失調症 / 非定型精神病 / NIRS / SPECT / 幻聴 / 診断 |
Research Abstract |
第26回日本精神科診断学会が京都で開催され、林が「非定型精神病と精神科診断学」と題する会長講演を行った。これは、林らがこれまでに行なってきた非定型精神病に関する研究の総括としてなされたものであり、近く出版の予定である「非定型精神病-内因性精神病の分類と診断を考える」に収載される。本研究は、3つの研究を柱に企画された。第一のNIRSの研究では、「探索眼球運動およびNIRSを用いた精神病性障害の分類再考」と題して、第100回近畿精神神経学会で、また、「非定型精神病の診断と探索眼球運動」と題して、日本精神科診断学会(京都)で、義村さや香らが発表した。このNIRS研究では、語流暢性課題で正常対照群(N=23)と分裂病性精神病との間に明確な差異を認めたものの、定型分裂病(N=13)と非定型精神病(N=18)との間の差異は明確とならなかった。このNIRSのデータは分散が大きいために、さらに多数の症例で検討する必要があり、これまでの結果は予備的なものとして、論文にはしていない。次のSPECT研究は、第13回関西脳SPECT研究会における特別講演「SPECTを用いた精神疾患の研究」において研究の総括がなされた。この講演内容も、「非定型精神病-内因性精神病の分類と診断を考える」と題する単行本に、収載される予定である。最後の精神病理学的研究は、深津尚史らによって、「データマイニングによる非統合失調症性精神病群の幻聴所見の検討-満田の非定型精神病からの考察」として、精神医学誌に2004年に発表されたが、それに続く幻視の研究として、引き続きデータの収集が行なわれており、近く成果が発表される。われわれはさらに、分裂病性精神病の画像診断的研究としてMRIを用いた研究を行なっているが、症例数がなお少ないために、病型別の検討はなされていない。しかし、症例が蓄積された後、統合失調症として行われている研究は非定型精神病に関する研究に発展することになる。われわれは、非定型精神病の研究を継続しているが、ひとまず、30数年にわたるこれまでの成果をまとめ、近く単行本として発表することにしている。
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Research Products
(4 results)