2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境下に生じるフリーラジカルの発癌・悪性化に果たす意義
Project/Area Number |
15390367
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡田 太 山形大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00250423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Keywords | 低酸素再酸素化 / フリーラジカル / 発癌 / 悪性化進展 |
Research Abstract |
本研究は,低酸素再酸素化によって生じるフリーラジカルが,正常細胞の発癌もしくは癌細胞の悪性化を促進させる要因となるか否かを解析した. 正常細胞には,マウス不死化線維芽細胞(BALB3T3細胞,NIH3T3細胞),ラット不死化小腸上皮(IEC6細胞)およびヒト大腸腺腫細胞(FPCK-1-1細胞)を用いた.癌細胞には,低腫瘍原性で非転移性のマウス良性線維肉腫(QR-32細胞)を使用した.これらの細胞を低酸素インキュベーター(O_2濃度1%)と通常酸素分圧インキュベーター(02濃度20%)間を約12時間毎に継続交置培養した.その結果,1)細胞内に活性酸化窒素種が生じることを特異的蛍光プローブにより証明した.2)低酸素再酸素化により,BALB3T3細胞およびNIH3T3細胞が癌化した.ヌードマウスに増殖する組織型は,線維肉腫や血管腫などであった.しかしながら,上皮系細胞由来の株化細胞(IEC6細胞、FPCK-1-1細胞)では癌化に至らなかった.3)低酸素再酸素化により,QR-32細胞が転移能を獲得した.4)これらの現象の普遍性を,新規に導入したマウス不死化線維芽細胞である,10T1/2細胞、BALB3T3 clone A31細胞,NIH3T3-3-4細胞においても示すことができた.4)低酸素再酸素化の培養条件下にフリーラジカルスカベンジャーを添加培養したところ,一部のスカベンジャーに発癌阻止効果のある予備的な成果を得ている. 以上の研究成果より低酸素再酸素化によって生じるフリーラジカルは,正常細胞の発癌および癌細胞の悪性化進展の要因となることが推定された.
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Research Products
(6 results)