2004 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異性と安全性の高いバイオナノカプセルによるピンポイントターゲッティング
Project/Area Number |
15390383
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20216261)
城戸 啓 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70327534)
宮田 量平 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20327571)
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Keywords | 遺伝子治療 / ミサイル療法 / HBs抗原 / ヒト肝細胞癌 |
Research Abstract |
ヒト肝細胞癌とヒト大腸癌をそれぞれ左右の皮下に移植医s太ヌードマウスにdextranをelectroporation方でHBs抗原L粒子に封入して尾静脈から静注して,翌日にヌードマウスを犠死せしめ,ヒト肝細胞癌組織とヒト大腸癌組織をはじめマウス肝臓組織や腎組織など各種組織を摘出して,蛍光顕微鏡にて各種組織を検索すると,ヒト肝細胞癌組織でのみ蛍光が検出され,ヒト大腸癌組織をはじめマウス肝臓組やその他のマウス各組織では蛍光は全く検出されず,本HBs抗原L粒子によるヒト肝細胞に対するピンポイントターゲッチングが可能であることがさらに確認された.さらに,HBs抗原と可溶性VEGF受容体遺伝子(sFlt-1 cDNA)とを結合させた生体適合性を有するナノ粒子を用いて,肝細胞癌に対してpin-pointに抗腫瘍効果を有する遺伝子治療を開発した.<方法>1.生体適合性を有したMPCと,遺伝子に結合可能なCation unitであるN,N-dimethylaminoethyl methacrylate (DMAEMA)と,蛋白質のNH2基とエステル結合し特異性を持たせることを可能にさせるp-nitrophenylcarbonyloxyethyl methacrylate (NPMA)とがpolymer結合した化合物(PMDN)をVectorの骨格として用いた.さらにPMDNに組織特異性を持たせる目的でHBs抗原またはEGFを,抗腫瘍効果を発現させるために生体内で血管新生抑制作用を有するsFlt-1 cDNAをそれぞれ結合させたもの(PMDN complex; sFlt-1/PMDN with HBsまたはsFlt-1/PMDN with EGF)を作製した.2.上記PMDN complexを用いて,腫瘍細胞HepG2,WiDrそれぞれにtransfectionさせELISA法にてsFlt-1発現量を比較検討した.3.腫瘍細胞HepG2の皮下担癌マウスモデルを作製し,それらに上記PMDN complexを腹腔内投与し腫瘍径を経時的に測定し抗腫瘍効果を検討した.<結果>ELISA法によるsFlt-1発現量は,HepG2にsFlt-1/PMDN with HBsをtransfectionさせた群において,他の群に比較して有意に多く認められた.さらにHepG2皮下担癌マウスにsFlt-1/PMDN with HBsを腹腔内投与した群において,他の群と比較して有意な腫瘍縮小効果を認めた.<考察>HBs抗原を結合させたPMDN complexはin vitro, in vivoにおいて肝細胞癌特異的に遺伝子を発現させることが可能であり,新しい遺伝子治療のVectorとなりうる可能性がある.
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