2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーインテリジェント・DDSを用いた難治癌に対する遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
15390389
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助教授) (30212278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 憲三郎 九州大学, 生態防御医学研究所, 教授 (00183864)
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
河野 健司 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90215187)
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
小山 義之 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (00162090)
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Keywords | Drug Delivery System / アニオン性PEG誘導体 / ポリエチレンイミン / JTS-1 / 遺伝子治療 / DNAマクロアレイ / トランスポーター / 抗癌剤耐性遺伝子 |
Research Abstract |
難治癌に対する遺伝子治療の開発には遺伝子導入の効率を増加させることが必須である。ポリカチオンを用いた遺伝子導入において、通常の条件ではDNAとポリカチオンとの複合体がプラスに帯電し、血清タンパクと大きな凝集塊を作ることなどが、in vivoの遺伝子治療に向けて問題となっている。我々は糖側鎖とカルボキシル側鎖を持っアニオン性PEG誘導体(Sugar-PEG-C)を合成し、DNA/ポリカチオン複合体の表面を被覆し、これらの副作用を阻止し糖認識による細胞への特異的な遺伝子の導入を試みた。plasmid/ポリカチオン複合体は、牛血清アルブミンの添加により、速やかに凝集して沈殿したが、Sugar-PEG-Cで被覆した複合体はアルブミンの添加後も凝集せず小さなグロビュール状で溶液中をブラウン運動し続けた。グルコース残基を側鎖に持つMal-PEG-Cでplasmid/キトサン複合体を被覆した系では、B16への遺伝子導入において、キトサン単独の最大83倍の高い発現が見られた。さらにプロトンスポンジ効果を持つポリエチレンイミンを用い、血清蛋白との凝集を阻止するカルボキシル側鎖を持つアニオン性PEG誘導体(PEG-C)を用いて複合体の表面をコートし新規ポリイオン複合体を形成した。この複合体にpH依存性膜融合ペプチドJTS-1とLactose修飾PEG-Cを用い6x10E9RLU/mgproteinまで発現効率を高め得た。さらに膵臓癌担癌マウスにおいて腫瘍内局注にてβ-gal遺伝子の発現増加を認めた。またJTS-1/pDNA/TF-PLL複合体では、TFレセプターを介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、エンドゾーム内でTFとPLLのジスルフィド結合が切れ、JTS-1のエンドゾーム膜融合破壊により複合体が効率よく放出された結果、核への移行量が高まり発現が上昇したと考えられた。オキサリプラチンおよびシスプラチン耐性癌細胞および非耐性癌細胞株を用いたDNAマイクロアレイの解析結果より、Tubrin特異的シャペロンEおよびCBP/P300-Interacting Transactivator(CITED2)遺伝子の増幅を認めた。これらの遺伝子に対するsiRNAを用いてノックダウン法を行うと耐性癌細胞株において細胞障害効果の増強を認めた。このことは、上記遺伝子が薬剤耐性遺伝子であることの証明となった。トランスポーター遺伝子の解析により、PEPT1、OCTN1などの遺伝子が同定され、PEPT1はβラクタム抗生物質、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、抗癌剤であるベスタチンの小腸粘膜の吸収に関係し、OCTN1はpH依存性の陽荷電分子の移動に関係することが解った。
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Research Products
(5 results)