2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する腹腔鏡下手術の標準治療確立に向けての基礎研究
Project/Area Number |
15390401
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
北野 正剛 大分大学, 医学部, 教授 (90169871)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 憲男 大分大学, 医学部, 助教授 (20271132)
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 講師 (60315330)
安田 一弘 大分大学, 医学部, 講師 (70325710)
|
Keywords | 腹腔鏡下手術 / 肝転移 / 腹膜播種 / リンパ節転移 / 接着蛋白 / ICAM-I / E-cadherin |
Research Abstract |
癌に対する腹腔鏡下手術において、癌の増殖・進展への二酸化炭素気腹の影響について基礎実験と臨床サンプルを用いて解析した。 I.肝転移、腹膜播種、リンパ節転移に対する気腹の影響 1.肝転移に対する影響 癌細胞の脾注肝転移マウスモデルを用いて肝転移に及ぼす二酸化炭素気腹の影響について検討した。その結果、気腹群は対照群に比べて肝転移個数が多かった。その機序の一つとして、気腹による門脈血流量の低下と肝虚血に伴い肝内血管の接着蛋白であるICAM-Iの発現の上昇が考えられた(Surg Endosc 19:1049-1054,2005)。さらに、肝血管内皮細胞の形態変化に及ぼす二酸化炭素気腹の影響を走査型電子顕微鏡にて検討した結果、気腹群にて内皮細胞の不整や開裂などの一過性変化が生じることが示された。(Surg Endosc 19:1049-1054,2005)。 2.腹膜播種 マウスの盲腸に癌腫を逢着するモデルを用い、腹膜播種形成に及ぼす二酸化炭素気腹の影響について検討した。その結果、気腹群は開腹群に比べ腹膜播種形成が軽度であった。さらにRT-PCRによる検討では、開腹群で腫傷内の接着蛋白であるE-cadherinのm-RNAの発現が低下しており、腫瘍からの癌細胞の離脱が容易に生じる可能性が示された(Surg Endosc 18:1795-1799,2004)。 3.リンパ節転移 会陰部から後腹膜腔内へ癌細胞を接種し腹腔内リンパ節転移を形成させるモデルを樹立した(Oncol Reports 12:115-118,2004)。本モデルを用いてリンパ節転移形成に及ぼす二酸化炭素気腹の影響について検討した。その結果、開腹群に比べ気腹群でリンパ節転移形成能が低いことが示された(論文準備中)。 II.進行大腸癌の臨床サンプルを用いた手術侵襲の検討 これまでに、開腹群例、腹腔鏡群例の大腸癌患者の術前・術中・術後の末梢血や標本のサンプリングを行い、C-DNAの作成まで終了した。現在、手術侵襲や術中末梢血癌細胞散布の観点から解析を進めている。
|
Research Products
(3 results)