2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工酸素運搬体投与による固形癌の酸素代謝変化に関する検討
Project/Area Number |
15390422
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70169770)
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245506)
藤本 博行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20338073)
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Keywords | 腫瘍酸素化 / 腫瘍潅流 / 人工酸素運搬体 / 放射線照射 |
Research Abstract |
ラットの左側腎臓にラットLY-80腫瘍の移植を行った。左側腎は腎動静脈ともに右側に比べ距離が長いため左側腎を選択した。腎被膜下へLY-80腫瘍片の挿入を行ったが、動物別に腫瘍間の発育のばらつきを減らすため、出血を減らす必要があった。本実験では腎血管へのカテーテル挿入や腫瘍組織酸素分圧測定のためには開腹が必要である。この開腹の時期を予測できるためには、腫瘍の発育がある程度一定で予測可能であることが望ましい。このため腫瘍片をさらに細かく裁断し、20G針をつけた注射器で腎被膜下に注入したところ、出血は顕著に減少した。また腹部正中切開にて左側腎に腫瘍の移植を行ったが、腫瘍発育後腎血管にカテーテルを挿入する際に、再度腹部正中切開を行う必要がある。この際癒着のため手技が難しくなる場合があるため、左腎へは左背側に皮膚切開を加え到達することとした。また、腹腔内への播種や、腎臓に発育した腫瘍が腹壁に浸潤するのを防ぐためパラフィルムで腎臓を覆った。このようにしてほぼ安定した腫瘍の発育が得られた。腹部大動脈より注入、腎静脈より注入液の回収が可能であった。予備実験においてリポソーム型人工酸素運搬体ヘモグロビン小胞体(HbV)を用いて注入潅流を行い、腎移植腫瘍の組織酸素分圧を針電極を用いて測定した。また流入部および流出部における採血により血液ガス分析が可能であった。HbV潅流時に腫瘍組織酸素分圧の上昇が見られたが潅流圧の制御が問題であり、潅流量を安定させるためにさらなる工夫が必要であった。別の角度から腫瘍の酸素化が治療効果に及ぼす影響についてもさらに検討を行った。ラット大腿部筋肉に腫瘍を移植したモデルを用い、全合成系人工酸素運搬体アルブミンヘムの放射線増強効果をアルブミンヘム投与量および照射線量を変化させて検討した。アルブミンヘム投与を併用した照射群では投与量、照射線量依存性に照射単独群に比べ腫瘍の発育は有意に遅延し、生存期間も延長が見られた。
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