2003 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞アポトーシスの分子メカニズム解明による生体内における骨吸収機能制御系の構築
Project/Area Number |
15390450
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 愛一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90359612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 弘美 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60101698)
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
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Keywords | 破骨細胞 / アポトーシス / Bim / 骨吸収 / ユビキチン化 |
Research Abstract |
破骨細胞は生体内で骨吸収を行う唯一の細胞であり、骨代謝において中心的な役割を果たす細胞である。破骨細胞の特徴としては分化終了と同時にアポトーシスに陥ることが挙げられるが、破骨細胞アポトーシスの詳細な細胞内情報伝達機構については不明な点が多かった。本研究は分子生物学的に破骨細胞アポトーシスを解析し、破骨細胞の生体内における調節系に対して機能、アポトーシスの両面からアプローチするものである。本研究において、我々は破骨細胞アポトーシスを直接誘導する分子としてBcl-2ファミリーに属する分子Bimを同定した。アポトーシス誘導蛋白Bimは破骨細胞の培養条件からM-CSFや骨芽細胞などの生存因子を除去すると、急速に発現上昇を起こし、少なくとも12時間発現上昇が維持される。Bimの発現量変化は蛋白レベルで調節され、M-CSFの下流においてERKの活性化を介したBimのユビキチン化とそれに引き続いて起こるプロテアソームによる分解に依存していることが明らかになった。 Bim遺伝子欠損マウス骨髄細胞から分化した破骨細胞はM-CSF非存在下でも著明な生存の延長を示した。また生体内においてもBim遺伝子欠損マウスでは破骨細胞の寿命が延長しており、骨組織内の破骨細胞数は増加していた。しかしながら、Bim遺伝子欠損マウスの骨組織は中等度の骨量増加(骨硬化症)傾向を示していた。In vitroの解析においてもBim遺伝子欠損マウス骨髄細胞より分化した破骨細胞は正常型のものに比べ骨吸収能は大きく減少していた。 これらの結果から、Bimは破骨細胞の生存に対してはネガティブに働くにもかかわらず、その骨吸収機能をポジティブに制御することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akiyama T.et al.: "Regulation of osteoclast apoptosis by ubiquitylation of proapoptolic BH3-only Bcl-2 family member Bim."The EMBO Journal. 22・24. 6653-6664 (2003)
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[Publications] 秋山 達, 田中 栄: "破骨細胞アポトーシスと骨吸収能の制御"Medical Science Digest. 30・2. 2-3 (2004)