2003 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹(ES)細胞からの骨・軟骨分化誘導に関する戦略的研究
Project/Area Number |
15390452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鄭 雄一 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30345053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 敏之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80322759)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40282660)
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30345219)
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Keywords | 胚性幹細胞(ES) / 骨分化 / 軟骨分化 / 分化十分条件 / 培養方法 / 再生医学 |
Research Abstract |
1.骨芽細胞・軟骨細胞を誘導分化するのに十分なシグナルの同定 1)骨芽細胞特異的に発現するラットI型コラーゲン遺伝子のプロモーターの下流にGFPを付けたレポーターコンストラクト及び、軟骨特異的に発現するマウスII型コラーゲン遺伝子プロモーターの下流にGFPを付けたレポーターコンストラクトのレトロウイルスを作成し、非骨軟骨系成体細胞及び非骨軟骨系細胞株に感染させた。 2)これらのマーカー遺伝子をもつ非骨軟骨系成体細胞及び非骨軟骨系細胞株を分化検出装置として、GFP蛍光を指標に骨軟骨分化十分条件のスクリーニングを行った。骨芽細胞・軟骨細胞の分化誘導候補因子としてはBMP、Hh、Wnt、IRS、Runx、Osx、Sox、FGFシグナル伝達系についてそれぞれ刺激・抑制・中立のウイルスを作成し、これを系統的に組み合わせて感染させた。 これらの実験により、再生医学の実現には極めて重要であるが従来ほとんど検索されてこなかった、非骨軟骨系にも分化誘導を行うことのできる分化十分条件が決定された。骨芽細胞では2種類の遺伝子の組合せが、軟骨細胞では3種類の遺伝子の組合せがその最小ユニットであった。 2.幹細胞の分離(担当:鄭、筑田) 骨芽細胞特異的に発現するラットI型コラーゲン遺伝子プロモーターの下流にGFPを付けたトランスジーンを発現するマウス、軟骨特異的に発現するマウスII型コラーゲン遺伝子プロモーターの下流にGFPを付けたトランスジーンを発現するマウスからES細胞および皮膚線維芽細胞を樹立し上記のスクリーニングに用い、同様の結果を得た。また霊長類カニクイザルのES細胞を購入し、これを用いて培養・分化誘導の練習を行った。 3.幹細胞の増殖 樹立したES細胞を、最適条件で分化させることなく、平面培養で増殖させた。このためには、フィーダー細胞とよばれる胎児線維芽細胞との共存培養、LIFと呼ばれる増殖因子の存在(サルでは必ずしも必要でない)、ベータメルカプトエタノールの存在、通常よりも豊富な各種アミノ酸とグルコースの存在などが必要である。また継代のタイミングも重要で、コロニーを大きくしすぎると分化を招く。これらの条件を変えることによって、マウス及びサルのES細胞での至適増殖条件を決定した。
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[Publications] Chung U.: "Essential role of hypertrophic chondrocytes in endochondral bone development."Endocrine Journal. (in press). (2004)
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[Publications] Long F, Chung U, Ohba S, McMahon J, Kronenberg HM, McMahon AP: "Genetic Evidence That Ihh Signaling Is Directly Required For The Osteoblast Lineage In The Endochondral Skeleton."Development. (in press). (2004)
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[Publications] Shimoaka T, Kamekura S, Chikuda H, Hoshi K, Chung U, 他9名: "Impairment of bone healing by insulin receptor substrate-1 deficiency."J Biol Chem. (in press). (2004)
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[Publications] 鄭 雄一, 星 和人, 高戸 毅: "骨軟骨の再生医療"現代医療. 36. 39-39 (2004)
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[Publications] 亀倉 暁, 鄭 雄一: "新しい透析骨症-骨はどのようにして形成されるか?"黒川 清監修、深川雅史編集(日本メディカルセンター). 335 (2003)