2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390456
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内田 淳正 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40176681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松峯 昭彦 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00335118)
友田 良太 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60378289)
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Keywords | 遺伝子治療 / 骨肉腫 / 軟骨肉腫 / 骨転移 / 肺転移 / 軟部肉腫 / デコリン |
Research Abstract |
骨肉腫、軟骨肉腫やユーイング肉腫などの原発性骨腫瘍、筋肉、脂肪、結合組織に発生する軟部肉腫、がんの骨転移の治療成績はいまだに不良であり新しい治療法の開発が望まれている。次代の治療法として期待されている遺伝子治療と外科手術を組み合わせた複合治療であり、その可能性を追求することが本研究の目的である。そのため以下の研究を展開し成果を得た。 1)骨肉腫細胞株の肺に高率に転移する細胞株を作成し、それぞれの細胞株の遺伝子発現をdifferential gene expression法を用いて解析した。その結果肺転移関連遺伝子としてsmall leucine-rich proteoglycanであるDecorinを同定した。Decorinを骨肉腫細胞株の野生型に遺伝子導入することにより肺転移が抑制された。また、細胞培養にDecorinを添加することにより細胞の遊走能、浸潤能が抑制された。 2)高悪性軟部肉腫31例でDecorinの発現をmultiple real-time PCRで検討したところDecorinの高発現群において有意に良好な無病生存率、累積5年生存率を示した。免疫組織学的検討ではDecorinは腫瘍と正常組織の境界領域に強く発現していた。Decorinが肺転移を強く抑制していることが示唆された。 3)骨肉腫の肺転移モデル(ラット)における自殺遺伝子導入骨肉腫細胞を血中に注入した後ガンシクロビルを投与すると肺転移の増殖抑制効果がみられた。肺転移成立以前の動物に遺伝子導入細胞とガンシクロビルを投与すると肺転移の成立を抑制した。これらの結果は骨肉腫の肺転移の治療として遺伝子治療が可能であることを明らかとした 4)転移性骨腫瘍における最小侵襲治療としての遺伝子治療の有効性を示すため、骨転移動物モデル(家兎の下腿にMDA-231乳癌細胞を移植して作成した骨転移モデル)に自殺遺伝子導入線維芽細胞(単純ヘルペスウイルスのチミヂンキナーゼ遺伝子)とガンシクロビルを局所に投与すると、骨転移による骨破壊が著しく抑制された。 骨腫瘍や軟部腫瘍は目的遺伝子の局所投与が非常に容易な部位であり、繰り返し反復投与も容易であることにより遺伝子治療の効果を表現するのに好都合であることが今回の研究で明らかとなった。
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Research Products
(6 results)