2003 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎退行性疾患の発痛機序-機械的、化学的因子の関与-
Project/Area Number |
15390463
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菊地 臣一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺野 慎一 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (70254018)
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Keywords | 神経根 / 後根神経節 / 髄核 |
Research Abstract |
(対象と方法) 成熟雄性ラットを用いた。全身麻酔後、左第5腰椎椎弓の一部を開窓し、神経根と後根神経節(dorsal root ganglia、以下DRG)を露出した。開窓部から椎間孔にむけて、stainless steel rodを挿入し神経根とDRGを圧迫した。次いで、尾椎から採取した髄核をDRG上に置いた。これらを圧迫+髄核群とした。同様にrodの挿入のみを行った圧迫群、髄核投与のみを行った髄核群、椎弓の開窓のみを行ったsham群を作製した(各群n=6)。各群に対し、von Frey針を用いて左足底の50%閾値を計測し、分散分析を用いて統計学的に解析した。また、非接触性の熱源を用いて足底の熱刺激に対して、逃避行動を起こすまでの時間を計測し、分散分析を用いて統計学的に解析した。計測は術後56日まで行った。各群ともに術後1,7,28,56日目の左第5腰DRGの組織標本を作成し、光学顕微鏡で観察した。 (結果) 機械的刺激に対する反応では、髄核群と圧迫+髄核群において、術後1日から28日にかけてsham群と比較して有意に閾値の低下が認められた。圧迫群では、術後3日から28日にかけて閾値の低下が認められた。各群間で機械的刺激に対する閾値の低下を比較すると、術後1、3、5日の時点で、圧迫+髄核群および髄核群は、圧迫群と比較して有意に閾値が低下していた。髄核群と圧迫+髄核群では、疼痛閾値の変化には差がなかった。いずれの群においても術後56日の時点では閾値の低下は回復した。すなわち、圧迫単独による閾値の低下は髄核の投与による閾値の低下よりも遅れて出現し、閾値の低下は可逆的である。熱刺激に対する反応では、すべての計測期間中で有意差を認めなかった。組織学的検討では、術後1日の時点で髄核を投与した2群でDRGの間質の浮腫像を認めた。術後7日の時点では圧迫+髄核群において軸索の変性像が認められた。術後56日の時点では、すべての群で間質の浮腫と軸索の変性像は認めなかった。すなわち、髄核を投与することにより早期からDRG内の浮腫が惹起され、圧迫と髄核が同時に加わることにより軸索の変性をきたす。
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