2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレーを用いた神経因性疼痛の機序解明
Project/Area Number |
15390473
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩平 哲 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90243229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00335358)
中江 文 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60379170)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 遺伝子 / DNAマイクロアレイ / 脊髄損傷モデル / GABA_A受容体 / パッチクランプ法 / ラット / rt-PCR法 |
Research Abstract |
慢性痛、特に神経因性疼痛は、確立された治療法もなく、多数の患者が苦しんでいる。神経因性疼痛の原因となる神経系の機能構造的的変化を解明することは、その治療法を確立するためにも必須である。臨床上の神経因性疼痛の原因は、多岐にわたることを考えると、複雑な神経ネットワークにおいて、慢性疼痛を発生するためには多因子の複雑な構造機能的な可塑的変化が生じていると考えられている。そこで、神経因性疼痛の多因子メカニズムを遺伝子レベルで解析するために、近年の遺伝子工学の進歩を利用した最先端の技術であるDNAマイクロアレイの技術を使えば、実験的慢性疼痛モデルでの一次、2次求心性ニューロンの遺伝子産物の変化を包括的に解析が可能と考えた。そこで本研究において、神経因性疼痛モデルとしてラット脊髄損傷モデルを作成し、ラットDNAマイクロアレイプレートを用いて、脊髄後角レベルでの神経遺伝子発現プロファイルを広範囲にかつ経時的に評価した。その結果、最近脚光を浴びてきたされてきたGABA性およびGlycine性抑制伝達のひとつ様式である持続性抑制性電流に関連する遺伝子群の変化に注目し、さらにそれらの遺伝子群の増減をreal time rt-PCR法にて定量解析を行った。特に、神経因性疼痛の1つの症状であるアロディニアを示す脊髄損傷モデルにおいて、GABA_A受容体のα5とεサブユニットがdown regulationしていることが明らかになった。また、脊髄損傷モデルの脊髄スライス標本からパッチクランプ法を用いて持続性GABA性電流を測定するとコントロール群に比して低下していることが観察された。これらの結果は、抑制系の脱抑制が脊髄レベルで生じていることが、脊髄損傷モデルでの神経因性疼痛のメカニズムの1つであることが示唆された。
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Research Products
(3 results)