2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛における神経幹細胞移植による脊髄の細胞再生と機能再建
Project/Area Number |
15390475
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 正人 山口大学, 医学部, 教授 (20136188)
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 大学院, 講師 (90232587)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
松井 智浩 山口大学, 医学部, 助手 (50314828)
櫻井 雅浩 東北大学, 大学院・胸部外科, 助手 (80344654)
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Keywords | 痛み / 脊髄細胞 / 神経可塑性 / グルタメート神経 / 神経栄養因子 / アポトーシス / 初期癌遺伝子発現 |
Research Abstract |
神経因性疼痛の治療は極めて難治性である.最近の多くの報告や我々の研究結果から、末梢-中枢知覚神経系のシグナル変調,とくに脊髄神経可塑性の関与が強く指摘され、その変調は傷害された脊髄細胞の再生・分化誘導に密接に関与することから、細胞再生能をいかに高めるかが治療の重要な裸題とされている. 本年度は神経因性疼痛の末梢性・中枢性機序における細胞分子生物学的解明、特に神経成長因子関連の役割を主に検討した。また、栄養因子による臨床応用可能な治療法の確立に向けた理論的基盤を得ることを目的とした。 実験成果を包括的に述べると以下のことが判明した。 1)脊髄神経の可塑性と化学的伝達変調:(1)坐骨神経損傷後、比較的早期に脊髄グルタメートが過剰に放出されることが引き金となり、WDRニューロンの興奮、細胞応答(過敏症発現)が起きる、(2)脊髄表層細胞でc-fos蛋白誘導およびアポトーシスが発現する、(3)抑制性介在ニューロンが遅発生に傷害される、(4)これらに対し、アデノシンやN型Ca channel阻害薬(シナプス前抑制)、末梢5HT2A阻害の他、磁気刺激(末梢神経の変調を改善)など伝達物質放出の阻害作用を有するなど各種薬物が有効であることが分かった。 2)神経栄養因子と細胞再生:細胞外マトリックスの果たす役割に注目した。(1)脊髄髄腔内TNF-a注入や末梢4methylcatechol投与で痛覚過敏が起き、その作用はそれぞれ抗TNF-a、抗NGF投与で軽減しうること、(2)坐骨神経損傷部への磁気刺激(交感神経刺激および知覚神経細胞の賦活、分化誘導効果)が痛覚過敏を軽減し、その作用は局所抗NGF投与で軽減されたが、N型Ca channel阻害では変化しなかった。 以上から、神経因性疼痛は末梢神経の損傷が外傷、感染などの誘因で起き、その後、求心性入力の持続的増加(脊髄glutamate増加)を引き金とする後角ニューロンの持続発火が起き、遺伝情報の変調も伴い、このような一連の生化学的反応によりシナプス伝導は可能となりもたらされることが明らかとなった。 さらに、慢性期における治療では、磁気刺激や栄養因子とマクロファージ、グリアなど、細胞外マトリックスの修復過程における関与が判明し、それを如何に適切に誘導するかさらに検討している。今後、bFGFや,BDNFの安定した注入方法、神経幹細胞移植における免疫抑制、副腎髄質注入の技術的問題を改善することなど、臨床応用に向けさらに今後の課題である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ishikawa T., Takano Y., et al.: "International Symposium on Spinal Cord Sciences : Neuroplasticity and stem cell treatment in spinal cord"日本臨床麻酔学会誌. Vol.24 No.1. 31-72 (2004)
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[Publications] Ishikawa T., et al.: "Role of neuroplasticity of spinal sensory systems in neuropathic pain : assessed by modulatory effects of inhibition of afferent nerve activation"Soc Neurosci. (2003)
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[Publications] Sakamoto E., Ishikawa T., et al.: "Effects of stellate ganglion block on traumatic trigeminal neuropathy"Pain Research. Vol.18 No.1. 25-30 (2003)
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[Publications] Ishikawa T., Nishi M., et al.: "Increased glutamate release evokes neuroplasticty of spinal cord neurons which may develop neuropathic pain in rats"The 1^<st> International Science and Research Symposium. 38-38 (2003)
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[Publications] Matsui T., Ishikawa T., et al.: "Mild hypothermia inhibits IL-10 production in peripheral blood mononuclear cells"Acta Anaesthesiol Scand. 48. 205-210 (2004)
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[Publications] Ishikawa T., Nishi M., et al.: "Biochemical and physical treatment in rat neuropathic pain and nerve growth factor"Pain Research. Vol.19 No.2(印刷中). (2004)
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[Publications] 石川 敏三, 他: "セロトニン研究会報告:神経因性疼痛の発生・維持における脊髄神経可塑性の関与"セロトニン研究会. 70 (2003)