2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳内痛覚認知機構の解明と臨床応用:特に無髄C線維を上行する信号について
Project/Area Number |
15390480
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (10145196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 幸二 生理学研究所, 統合生理研究系, 助手 (70262996)
十時 忠秀 国立大学法人, 佐賀大学・医学部, 理事(病院長) (20038722)
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Keywords | 痛覚 / 脳波 / 脳磁図 / ヒト / 体性感覚 / 電極 / レーザー / 触覚 |
Research Abstract |
本年度は、(1)痛み刺激に対して意識を集中する場合と意識をそらす場合の痛覚認知の変化、(2)睡眠中の痛覚認知の変化、(3)運動野に対する経頭蓋磁気刺激の鎮痛効果、について研究を行った。 痛み刺激に対して意識を集中する場合には、痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応の振幅が、control条件に比して有意に増大し、自覚的な痛覚レベルも有意に上昇した。逆に、痛み刺激から意識をそらす場合には、痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応の振幅が、control条件に比して有意に低下し、自覚的な痛覚レベルも有意に低下した。これらの結果は、痛覚認知における注意効果が大きいことを明瞭に示すものであった(Qiu Y, Kakigi R et al.:Clinical Neurophysiology,2004)。 睡眠中の痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応は、例え「うとうと状態(Stage1)」でも著明に振幅が低下し、軽眠期にはほぼ消失した。このような著明な変化は、触覚などのような他の体性感覚では見られないものであり、痛覚認知における睡眠の影響が大きいことを示す所見であった(Wang X, Kakigi R et al.:Neuroscience,2004)。 運動野に対する連続的経頭蓋磁気刺激の鎮痛効果については個人差が大きいことが知られている。痛覚関連誘発脳波を用いて、この効果を調べたところ、C線維を上行するsecond painに対しては有意な鎮痛効果が見られたが、A-delta線維を上行するfirst painに対しては、逆に痛みが強くなった。この相違が、患者によって効果が異なることの大きな理由の1つと考えられる(Tamura Y, Kakigi R et al.:Neurology,2004)。
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Research Products
(6 results)