2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスによる腎移植慢性拒絶反応に対する進行阻止の試み
Project/Area Number |
15390498
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Research Institution | FUJITA HEALTH UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星長 清隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30229174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 良一 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (70226330)
日下 守 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40309141)
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Keywords | 脳死 / 虚血再灌流障害 / real time PCR / microarray |
Research Abstract |
移植腎の長期予後を左右する慢性拒絶反応の成因を解明するため、これまでantigen independent risk factorとして知られる脳死や虚血再灌流障害に関して、ラットを用いた腎移植モデルにおけるグラフト内の遺伝子変化をマイクロアレイ用いて検討しその成果を論文にまとめた(Genomewide expression profiles of rat model renal isografts from brain dead donors. Transplantation 2007)。ついで当院で施行した献腎移植に関する研究では動物実験と同様に臨床検体を用いた解析を進めた。臨床検体は献腎移植8例(DCD群)、生体腎移植15例の移植後1時間生検に対し、Agilent (R) Human 1A oligo microarray kitを用いて20,173遺伝子について解析を進め、DCD群とLD群の比較では、DCD群で優位であり(DCD/LD>1.5)かつ2倍以上に発現が亢進している遺伝子は178であった。この中でosteopontin, chemokineやHSPsは著しい変化を示していた。この内容については、成果の一部を短報にまとめた(Upregulation of Osteopontin, chemokines, adhesion molecule and heat shock proteins in 1-hour biopsy from cardiac death donor kidneys. Transplantation Proceedings 2006)。動物実験の結果をもとに、臨床検体と共通して発現の亢進した遺伝子を選択し、この中から今後診断と治療に応用可能な遺伝子、特に分泌蛋白について検討を加えるべく検索をすすめたところ、有力な候補のひとつとしてNGAL (neutrophil gelatinase-associated lipocalin)が注目された。臨床検体での検討では1時間生検においてreal time PCRでの検討ではDCD群で優位にLD群と比較して発現亢進がみられた。NGALの移植後の血清を用いたELISA解析では、移植前の血清NGAL値は963±33ng/mlであり、生体腎移植例では移植後直ちに減少した。一方献腎移植症例では術後のNGAL変化は二峰性を示し徐々に減少した。後半のピークを過ぎて数日で利尿が始まり移植腎機能は回復しはじめ、献腎移植における血清NGAL値の変化は無尿期における移植腎機能の回復を示すバイオマーカーの一つと考えられた。本研究の成果の一部は現在NGALに関してCell Transplantationに投稿中である。
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Research Products
(2 results)